昨日も阿蘇地方を震源とする震度5強の地震が発生しました。
家の損壊、ライフラインの寸断、そして地震が続くことへの不安で自宅に戻れず、避難生活を続けている方が現在も約10万人います。
いま一番問題なのが、救援物資が的確に被災者の元に届いていない事です。
特に指定避難所以外の避難所は、水も届かず、集まった人たちで自給自足を続けているところが多いようです。
2013年8月に内閣府で策定された「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組み指針」によると、指定避難所以外の施設に避難した被災者も、災害救助法に基づく支援の対象となり、必要な救援が行われることになっていますが、そのようになっていないのが現状です。
もっとも、物資が絶対的に不足しているということではありません。熊本県庁には届けられたペットボトルの水や食料、生理用品、簡易トイレなどの支援物資が山積みになっています。人手が著しく足りず、捌ききれていないのです。
これらは、東日本大震災の時に起こった問題の繰り返しです。
今朝、防衛大臣が、このような「水や食料が被災者に届いていない」との声を受けて、自衛隊員に直接物資を避難所に届けるよう更なる指示をしたと発表していました。
しかし、実は、ここにも問題が隠されています。
例えば指令を受けた自衛隊員が「A指定避難所」に消費期限が5日間のX食品を配送したとします。
しかし、A指定避難所には既に民間から多くの同じX食品が送られていて「必要ない」と言われてしまった。
そのような場合でも、自衛隊員は上からの命令に反して、他の避難所にそのX食品を持っていく事ができないのです(また、自衛隊員には他の任務がありますので、その場に残って時間を費やすこともできません)。
A指定避難所の職員が限られたガソリンを使って他の避難所に持っていく事もなかなかできず、X食品はそのまま大量に腐ってしまい、廃棄処分となってしまう。
これは東日本大震災の時に私が実際に現場で経験したことです。そして、同じようなことが現在も熊本で起こっているのです。
当時は時間が許す限り私もトラックを運転して配送し、ミスマッチの解消に務めましたが、現在のIT技術を使えば、自治体との連携を含めて、そのような問題を起こさず、「指定されていない」避難所にも平等に物資を届けることができるはずです。
特に断水が続いているような状況では、飲料水の遅れが命に関わってきますので、迅速に対応しなければなりません。エコノミー症候群での関連死を防ぐには、水分を多めに摂ることが必要なのです。
「指定避難所、避難所、ミスマッチ」
これを解消する為の取り組みが遅れてしまっていることには、私も責任を感じざるを得ません。
今後、重要課題として政府に提言していきたいと思います。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年4月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。