スペイン・モンドラゴン大学の大学生の皆様と意見交換してきました。
モンドラゴン大学は、協同組合企業(日本でいう大規模な農協みたいなところ。)が設立した起業家養成大学。4年間の間に、実際に「起業」して黒字を出すことが卒業の要件になっています。
すごいのは、そのカリキュラム。
コーチはいますが教授はいませんというモンドラゴン大学。あくまで実践の中で学ぶべきとの方針で、入学「初日」から起業のアイデアを考えることが求められます。「Learning by doing!」という言葉が何回も飛び出したのが印象的でした。
壊れても修理がしやすい「ドローン」の開発に取り組む学生チームから詳しくお話を伺いました。
●今のドローンは一部が壊れると全部終わりだが、私たちはレゴのブロックのように壊れた部分だけを取り外して修理したい。
●既に何度も実験をしている。
●特許をとることは考えていない。オープンリソースとして、社会の発展に寄与したい。
●ドローンに関する知識がなかったからこそ、誰でも使いやすいものを作りたい。
●現在の研究費用については、もともとの知人から個人的に出資をいただいている。
とのこと。
スペインには有名な諺があるそうです。
「怠け者が働くのは、働かないためだ。」
四つ目の●で、「知識がなかったからこそ、誰でも使いやすいものを作りたい」というのはまさにその諺どおりですし、そこからイノベーションが生まれるのかもしれません。
五つ目の●のとおり、大学生の研究チームに出資が集まるのも面白いですね。
何より20歳前後の大学生が、とてもしっかりしていたのが印象的。常に自分の頭で考え、行動することの成果ではないでしょうか。
起業のアイデアに行き詰った時は、ゆっくりキャンパスを歩くとのこと。社会の中の「困りごと」を見つけ、その「解決策」を考えたら、それが「起業」のアイデアになる。何も難しく考えることはないそうです。
伝統的に労使対立が激しいスペイン。モンドラゴン大学の起業家養成プログラムは、労使対立を越えて、大きな意義があるのではないでしょうか。
(モンドラゴン大学の大学生たちと見学したバスク地方のブドウ畑。地面のミネラル分が溶けだして独特の味になる。)
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年5月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。