昨日午後9時、ダイエー碑文谷店が41年の歴史に幕を閉じました。
この店舗は、大阪や神戸を拠点として創業したダイエーが、1975年に東京での旗艦店として開業。食料品だけでなく、衣料品や住宅用品、家電までを取扱い、「ここに行けば何でもそろう」という総合スーパー(GMS)の先駆けとなりました。
都心部・目黒の高層スーパー(地上7階建て)としてメディアに度々取り上げられるだけでなく、日本で初めて単店での年間売上200億円超えを達成し、駐日アメリカ大使が視察に訪れる等、一時代を築き上げたシンボリックな存在でした。
しかし、商品を比較的安く、幅広く揃えるというスタイルでは、今の購買者の多種多様な願望を捉えることができなくなってしまいました。
また、宝物探し的にぶらぶらしたい人はドン・キホーテのような店や、「超」大型のホームセンターにでかけるでしょう。
消費のダイバーシティーは小売店だけではなく、全ての業界に言えることです。
外食でも、高度成長期~成長期には「ラーメン、寿司、洋食」と何でも揃っているデパートの最上階レストランが繁盛しました。同時期に、同じようなコンセプトのファミリーレストランが人気を博し一気に店舗数を伸ばしました。
しかし、徐々に舌が肥えてくると、「ラーメンと寿司を一緒に出すお店が、美味しいわけがない」と気づきます。やはり美味しいのはラーメン専門店や寿司の専門店です。洋食も一括りの店ではなく、イタリアンやフレンチに分かれます。そして、イタリアンもパスタ専門店なのか、ピザ専門店なのか・・・だんだんと細分化されてきます。
そして現在は、サイドメニュー視されてきたフレンチフライ専門店、マッシュドポテト専門店、サラダ専門店等の人気がでてきています。
「2016年5月5日撮影」
何度か買い物に出かけたことがあるダイエー碑文谷店。
昨日はその最終日を外から見届けました。
総合スーパーの象徴だった同店の終焉は、一つの時代が過ぎ去ったことを意味しています。
ここから需要を大きく伸ばすには、販売方法や商品にどのようなイノベーションが必要なのか。日本の個人消費の行方について、あらためて考えさせられました。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年5月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。
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