宇宙人(ファイル)は存在するか

長谷川 良

久しぶりに心躍るニュースがワシントン発時事で流れてきた。米大統領選の民主党候補者クリントン女史が、「大統領になれば宇宙人関連のファイルがあれば調べてみたい。国家安全問題に引っかからない限り、その内容を公表する」と公約したというのだ。

選挙戦の政治家の約束ほど信頼できないものはないが、クリントン女史のこの公約はぜひとも実行して頂きたい。共和党の対抗候補者トランプ氏に投票しようと考えていた有権者が宇宙人ファイルの公開を実現させたいためにクリントン女史に票を投票するかもしれない。頭の切れるクリントン女史はそこまで計算に入れて宇宙人ファイル公開を公約したのかもしれない。

しかし、そんな選挙戦の舞台裏など宇宙人に関心のある国民は元々どうでもいいのだ。問題は宇宙人ファイルの公開だ。少し古い世代ならUFOを捜査するFBI捜査官のSF番組「Xファイル」を思い出すだろう。当方も当時、同ドラマに嵌った一人だ。宇宙人が存在し、彼らが地球まで飛来してきたとすれば、ただ事ではない。文字通り、地球レベルの大問題だ。惑星の衝突に匹敵する死活問題だ。同時に、地球人が信じてきた神との関係だ。正直いって、これは少々厄介だ。宇宙人の存在は我々の世界観、宇宙観を決定的に変えることだけは間違いない。

当方は宇宙人を天使と推測している。宇宙船はその天使の乗り物だろう。神は天使を宇宙創造の手先として創造した。天使は時空を超越した存在だ。天使が神の宇宙創造時から存在していたとすれば、どうしてこれまで天使の存在が明らかでなかったのか、という疑問が沸いてくる。

天使と交信できる人はいる。ノルウェー王ハーラル5世とソニアの長女としてオスロで誕生したマッタ・ルイーゼ王女だ。天使との交信した本も出している天使世界の案内人だ。

王女は2002年、同国の作家アリ・ベーンと結婚し、3人の娘さんがいる。2012年2月、エリザベス・ノルデング女史との共著で「天使の秘密」というタイトルの本を出版している。王女は既に、子供たちが天使と話すことができるようになるために「天使の学校」を開校している。王女によると、「天使は私たちの周辺にいて、私たちを助けたいと願っています」という。もちろん、どの世界でもそうだが、王女の「天使との交信」について、国内では何かいかがわしい行動のように受け取る人々もいる。

天使界には3人のリーダー、ルーシェル、ガブリエル、ミカエルの3大天使がいる。その中でルーシェルは創世記の「失楽園」物語で「ヘビ」として登場し、エバを誘惑した張本人だ。その結果、天使たちも人間との正常な関係を築くことができなくなった。人類始祖は堕落によって神との交流を失っただけではなく、「僕」だった天使とも交信できなくなったわけだ。

一方、堕落天使は人間が神を見つけ出さないようにさまざな工作を駆使してきた。その最高傑作は史的唯物論の共産主義だ。共産主義は「宗教はアヘン」とし、宗教は支配階級が労働者たちを支配する手段と主張してきた。だから、共産主義に被れた知識人は神はいないと信じ、宗教を毛嫌いしてきたわけだ。

無神論世界が拡大してきて堕落天使のトリックは成功したが、問題も生じた。天使自身が自分の存在を否定せざるを得なくなったからだ。神を否定したが、天使の存在が暴露されれば、“目に見えない霊的な存在”云々と言った主張が出てくることになり、やばい。だから、天使は神と共に自身の存在も否定せざるを得なかった。マッタ・ルイーゼ王女のような一部の人間以外は天使と交信できなくなったわけだ。

宇宙人の話に戻る。神は人間界に善の天使たちを定期的に派遣している。その天使とその乗り物のUFOを偶々目撃した人は大騒ぎしたわけだ。UFOは米空軍の戦闘機が追跡してもつかめない。多次元を自由に行き来できる天使は行動が3次元に制限されている物質世界に生きる人間では追跡できないからだ。

クリントン女史が大統領に就任し、公約である宇宙人ファイルを見つけて公開してくれることを期待する。ところで、クリントン女史ではなく、共和党のトランプ氏が大統領に選出された場合、同氏はどのように対応するだろうか。ひょっとしたら、自分には宇宙人の友人がいると言い出すかもしれない。自分が宇宙人だと主張するかもしれない。宇宙人の政治家は珍しくない世の中だ。日本でも宇宙人と呼ばれた政治家(鳩山由紀夫元首相)が一時、暗躍したばかりだ。


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年5月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。