昨日の日本経済新聞の報道によれば、一般住宅に旅行者を有料で宿泊させる「民泊」の全面解禁に向けた原案を政府がまとめたそうです(図も電子版より引用)。最近、東京や大阪では訪日観光客の増加でホテルが取れないなどの問題が出てきています。民泊拡大によって空室になっていたり、利用していない部屋を流通させる仕組みは、大規模なインフラ投資も不要で、即効性のある問題解決方法として期待できると思います。
新しい法律では、ネットを通じて都道府県に必要な書類を届け出れば、帳場の設置などを義務づける旅館業法上の許可が不要になるとされています。また今まで禁止されていた住宅地での民泊も解禁して、対象地域を大幅に広げるということです。
まだ、最終決定していないので流動的な部分も多いと思いますが、導入されたとして普及するかどうかは「営業日数の制約」がどうなるかにかかっていると思います。記事によれば、イギリスでは年間90泊、オランダでは年間60泊までに営業日数を限っているとされ、このような一部の時期しか営業できない民泊では、旅行者のニーズをしっかりつかむ宿泊施設は提供されないと思います。
規制緩和によって、既存のホテル旅館業界が営業を圧迫されるという反対意見も出ているようですが、例えば星野リゾートの星野代表は「素人が提供するサービスにプロが負けるとは思わない」と語っています。低品質のホテルや旅館は、民泊との価格競争に巻き込まれて淘汰されていくと思いますが、高品質の宿泊施設はさらにサービスレベルを磨き上げ、日本の観光業全体にとってみれば大きなメリットが出てくるはずです。
パリでAirBnB(エア・ビー・アンド・ビー)を利用して、アパートを借りたことがありますが、コンシェルジュもおらず、施設もホテルに比べれば不便がたくさんありましたが、パリで生活している気分を味わうことができ、ホテルとは違った旅行体験ができました。
日本でも、そのような多様な選択肢を旅行者に提供できるようになれば、観光立国を目指すという政府の目標に大きな力を与えるはずです。
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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年5月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。