なぜ今さら、太陽光発電所投資を検討するのか?

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太陽光発電所投資は1年ほど前にブームになりました。その後、国の電力買い取り価格が大きく下落し、一括償却という税制メリットも無くなってしまったことから、「終わった投資対象」だと思い込んでいました。しかし、最新の情報を教えてもらい、現時点でも検討に値する物件が見つかることを知りました。

紹介されたのは、売電価格が36円(税込38.88円)の物件です。価格が高いのは設備認定時に設定した運転開始予定日が2014年のものだからです。以前に設備認定された売電価格の高いこのような案件なら利回りはかなり高くなります。

この数年で、太陽光発電の設備は高性能低価格化が進み、その分事業者にとっては収益がアップするというメリットが生まれました。想定利回りは、保険や保守点検などのコストを引いてもネットで8%近い物件が存在するのです。

東北電力に売電する案件の概要は次のようになっています。

投資価格 2400万円(土地、設備、税込)
20年間の売電金額合計 約4600万円(日照量、パネル出力を元に損失係数90%で計算)
保険、管理費などを除いたキャッシュフロー 約3600万円
1年間平均の収入が約200万円となります。

更に、金融機関から固定金利2.5%で15年2200万円まで借入できます。本人の属性よりも事業収支からの審査が中心なので、収入が少ない人でも借入できそうです。

もし、期間15年、固定金利2.5%で2200万円借りると、元利均等返済額は月々約15万円になりますから、収入からローン返済を差し引いたキャッシュフローは15年間は毎月1万円程度です。しかし20年間の電力買い取り保証がありますから、16年目からは200万円の収入が丸々入ってきます。初期投資金額200万円ですから悪くありません(数値はすべて概算です)。

都心の中古ワンルーム投資とよく似た「チャリンチャリン投資」ですが、2つの違いはリスクです。

ワンルームマンションを固定金利のローンで購入したとしても空室リスク、家賃下落リスク、物件劣化リスクなどが残ります。一方で、売電価格が決まっている太陽光発電であれば、リスクとして残っているのは、日照量変動、設備の故障・破損、国の買い取り保証条件の変更などが考えられます。

また、ワンルームマンションは途中で売却できる流動性がありますが、太陽光発電は買い取りする人がいなければ保有するしかありません。

逆に、ワンルームマンションには無いメリットとしては、減価償却があります。全額一括償却は出来なくなりましたが、設備価格の50%は特別償却で初年度に落とすことができます(上記例だと約1000万円)。法人の場合事業年度の最終日までに取得し事業開始すれば対象とすることができます。

太陽光発電事業の投資は、信頼できる会社から信頼できる立地・設備の物件を購入すべきです。怪しい業者から購入してトラブルに巻き込まれないように「誰から買うか」をまず考えるようにしましょう。明日配信の資産デザイン研究所メールでも詳しく分析してみたいと思っています。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年5月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。