昨日、憲法審査会で最高裁判所の視察に行ってきました。
正門から入った大ホールの床にある定礎石。水平の線には意味があって、右に真っ直ぐ延長すると国立劇場の中心へ、左に延長すると国会議事堂や国会図書館の中心に到達するとのこと。
最高裁判所は、司法権の最高機関です。特徴的なのは、一切の法律,命令,規則または処分が憲法に適合するか否かを決定する権限(違憲立法審査権)を有する終審裁判所であるということ。ある法令が合憲か違憲かは、下級裁判所も判断できますが、最終的には最高裁が結論を下します。
「小法廷」
小法廷は、第1から第3の3つ存在し、それぞれ5人の裁判官で構成されています。
「大法廷」
全ての事件はまず小法廷で審理し、ほとんどの事件はそこで終了するとのこと。憲法判断を行うなどの一定の限られた場合には、事件を大法廷に移します。
因みに、最高裁の裁判官は15名いますが、その内訳は男性12、女性3です。
昨年12月に大法廷で行われた「夫婦別姓訴訟判決」では合憲との判断が下されましたが、意見は10対5に分かれました。注目すべきは3名の女性裁判官は全員が「違憲」としたこと。この問題に関しては男性の当事者意識が極めて薄いとの指摘がなされており、それは最高裁判事にも当てはまりうることからすれば、男女比が8対7若しくは7対8であったならば違憲となっていた可能性は大と言えます。
裁判所は、組織・構成上偏りがなく公平・公正でなくてはいけないのは当たり前ですが、今回のような場合には「性別」のアンバランスの是非が問われかねません。
よって、質疑応答の際は、最高裁の裁判官の男女比が偏っていることに関して、問題や議論はないのかと尋ねてみました。
答えは「人事権は内閣にあるので…。」とのことで、議論等は特に行われていないそうです。しかし、そのような話し合いを司法の各所で行っていけば、国民的な論点として発展する可能性があります。
最高裁の人事には「枠」があり、裁判官出身者6名、弁護士出身者4名、検察官出身者2名、行政官出身者2名、法学者出身者1名等となるように選ばれていると言われています。多様な立場の意見を反映するためとのことで一定の合理性があると思いますが、そうだとすれば男女比についても「枠」を設けるべきです(例えば、6対4以上に開きが大きくならないようにする等)。
地方裁判所の女性比率は40%ぐらいになってきているとの説明もありましたが、この流れを最高裁の構成にまでつなげることのできるよう、クオーター制等も含めて考えていくべきです。
(私は、国会議員の構成も、極力世の中の比率と同じようにしていくべきだと考えています。そうすることによって、よりフェアな議論を行うことができるからです → http://ameblo.jp/koutamatsuda/entry-12008356712.html )
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年5月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。
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