Facebook で目が離せなくなる映像を見つけました。「境を超えて」という3分の作品で、ALS(筋萎縮性則側索硬化症)の患者の方の日々の生活をカメラに収めたもの。ご本人と支える周囲の方々の日常を通じて、この難病に関する理解を深めることができます。
私がこの病気を初めて知ったのは、米国に留学中だった10年前。同級生に初期のALSのイスラエル人がいたのです。Facebook 経由で伝え聞く彼は、闘病しつつも、患者のためのNPOを設立し、結婚して二人の子供にも恵まれ、とてもエネルギッシュに過ごしています。
ライフネット生命が発売している「就業不能保険」のご契約者さまにも、40代でALSを発症された方がいます。毎月の給付金でご自宅にヘルパーさんに来てもらいながらの生活。「保険のおかげで、自宅で自分のペースで生活できるから助かっている」と話されていたのが印象的でした。
病気やケガが原因で長期にわたって仕事ができなくなったとき、途絶える収入をどうやってカバーするか。この心配に備える保険商品が「ディサビリティ(long-term disability)」と呼ばれる「就業不能保険」。欧米を中心とした先進国では広く普及しており、およそ働く人であれば当然のように加入している保険です。そういえば、私が新卒で入社した外資系企業でも会社が加入してくれていたように記憶している。
しかし、日本ではまだまだ、普及はこれから。普及率は1%に満たない。ちなみに、名前が似た商品で「収入保障保険」というものがありますが、こちらは死亡した際の保険金を年金払いにして分割に支払う保険で、別物です。
戦後長らく、わが国における生命保険の主力商品は死亡保障でした。すなわち「自分に万が一のことがあったときに、残された家族にお金を残す保険」です。
しかし、医療技術が高度化し、あるいは社会の晩婚化などのトレンドが進むならば、これからは自分が生きていくための保険が大切になってくるのではないか。業界のオピニオンリーダーであった、元ニッセイ基礎研究所の明田裕氏は、早くも2004年に「ディサビリティこそ生保・共済事業のフロンティア」という論文を書かれていた。
日本では公的保障も比較的手厚く、民間医療保険に入っている人も多いので、収入さえ入ってくれば、医療費は何とか支払える。本当に困るのは病気やケガに伴う医療費そのものよりも、働けなくなって、収入が途絶えてしまうこと。そういった趣旨の話を、複数の医療関係者から聞いた。
そこで、ライフネット生命は2010年2月に「働く人への保険」の発売を開始した。当時、商品開発部長も兼務していたので、自分も約款を書き、金融庁との認可折衝も行った。2008年5月の開業後、初めての新商品だったこともあり、特に想い入れがある商品でもある。このときに準備した資料をベースに、担当した同僚が書いた論文が「わが国におけるディサビリティ市場の発展と課題」である(生命保険経営のサイトで読めます)。
「働く人への保険」はすべての働く人に入って欲しい自信作であるが、いままで日本でも前例がほとんどなかったこともあり、ネット経由での販売はまだ大きく伸びてはいない。人は自分が見慣れたものはネットで買えるが、まだ知らないものはなかなかネットでは買えない。
この商品はむしろ、対面での説明の方が馴染むのではないか。そう考え、2014年夏ごろ、数社の乗合代理店に、この商品の取扱いに興味がないか、聞きに行った。当社から代理店側にお支払いする手数料は必ずしも高くないが、これから伸びる新しい分野に戦略的に着目し、協業を快諾してくれたのが、ほけんの窓口グループだった。それから急ピッチで準備を進め、同年12月からほけんの窓口での販売がはじまった。
あれから1年半。販売開始してから約6年の支払い実績などもベースに、何度も募集人の皆さん向けの説明会を実施した。多くのお客様に販売して頂いた。同時に、「もっとこうしたらお客様のニーズに応えられるのに」というフィードバックも、たくさん頂いた。
発売から6年。これまでのお客様からのフィードバックを活かして、初めて就業不能保険のリニューアルを実施し、2016年6月1日より「働く人への保険2」を発売開始します。詳しい商品スペックなどはリリースをご参照頂きたいが、改定の特徴としては、①多様なお客様のニーズに対応できるよう免責期間、保険期間などの選択肢を増やしたことと、②最大1年6ヶ月は給与が補填される「傷病手当金制度」があることを前提に、この期間は給付金を半額にして保険料を節約することができる「ハーフタイプ」を導入したこと、③さらには「就業不能状態」の定義をより明確にし、「入院または医師の指示による在宅療養」をこの状態と一義的に定義したことがあります。
ライフネット生命が自信をもって、すべての働く人へお薦めします。
特設サイトも用意しましたので、皆さまもぜひご覧ください。
編集部より:このブログは岩瀬大輔氏の「生命保険 立ち上げ日誌」2016年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は岩瀬氏の公式ブログをご覧ください。