米5月小売売上高、ガソリンやオンラインが支え予想以上

5月小売

米5月小売売上高と、米4月企業在庫をおさらいしていきます。

米5月小売売上高は前月比0.5%増となり、市場予想の0.3%増を上回った。2015年3月以来の高水準を遂げた前月の1.3%増から鈍化したとはいえ、3ヵ月連続で増加。米5月新車販売台数に支えられている。さらに自動車を除いた場合も0.4%増と、市場予想に並んだ。前月の0.8%増を下回りつつ、4ヵ月連続で増加した。国内総生産(GDP)に反映されるコア小売売上高(食品サービス、自動車、燃料、建築材を除く)は0.4%増と、市場予想の0.2%増を超えた。4月分も0.9%増から1.0%増へ引き上げられた。1−3月期国内総生産(GDP)改定値からの上方修正はもちろん、米4−6月期GDPの力強さが期待できる。

内訳をみると、主要13カテゴリー中で9項目増加。前月の11項目を下回った。今回は原油先物の買い戻しに支えられ、ガソリンスタンドが前月に続き大幅増を遂げた。また、オンラインを含む非店舗の伸びも力強い。アメリカ人の消費の先行指標とも言える外食も、前月に続き好調。半面、小売決算が不振だったように前月に続いて一般雑貨が弱く、百貨店も減少に転じた。建築材/園芸は堅調な住宅指標にも関わらず、2ヵ月連続で減少している。項目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)
・ガソリンスタンド→2.1%増<前月は2.5%増、6ヵ月平均は0.1%減
・スポーツ衣料/書籍/趣味→1.3%増>前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.5%増
・非店舗(オンライン含む)→1.3%増<前月は2.5%増、6ヵ月平均は1.3%増

・服飾→0.8%増>前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.1%増
・外食→0.8%減>前月は0.5%増、6ヵ月平均は0.6%増
・健康→0.6%増<前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.7%増

・自動車→0.5%増<前月は3.1%増、6ヵ月平均は±0%
・食品/飲料→0.5%増<前月は1.2%増、6ヵ月平均は0.3%増
・電気製品→0.3%増>前月は0.2%増、6ヵ月平均は0.1%減

(マイナス項目)
・家具→0.1%減<前月は0.3%増、6ヵ月平均は0.1%増
・一般小売→0.3%減<前月は0.2%増、6ヵ月平均は0.1%減(*百貨店は0.9%減<前月は0.2%増、6ヵ月平均は0.5%減)
・雑貨類→1.2%減<前月は2.1%増、6ヵ月平均は0.6%増
・建築材/園芸→1.8%減>前月は2.0%減、6ヵ月平均は0.1%減

前年比は、直近のレンジ内を継続。

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(作成:My Big Apple NY)

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、過去分の上方修正を含めた今回の結果を踏まえ「4−6月期の個人消費予想を従来の3.4%増から3.7%増」へ引き上げた。ただし「建築/園芸の項目が予想外に弱く、住宅関連の投資が鈍化する見通し」と指摘。その上で、米4−6月期GDP予想を「2.7%増」で据え置いた

▽米4月企業在庫、予想以下にとどまり過去分も下方修正

米4月企業在庫は0.1%増となり、市場予想の0.2%増を下回った。前月の0.3%増(0.4%増から下方修正)に届かなかったものの、2ヵ月連続で増加した。内訳をみると、製造業が0.1%減と減少トレンドを維持した。小売も自動車が落ち込んだ影響で、0.1%減。卸売のみ0.6%増と、2ヵ月連続で増加した。

企業売上高は前月比0.9%増と、前月の0.2%増から加速した。在庫相当は1.40ヵ月となり、過去3ヵ月続いた1.41ヵ月から短縮した。

――米5月小売売上高は4月に続き好調なペースを保ち、個人消費の芽吹きを感じさせました。バークレイズのエコノミストは米4-6月期GDP予想を引き上げなかったものの、アトランタ地区連銀は従来の2.5%増から2.8%増へ引き上げています。米連邦公開市場委員会(FOMC)は、今回も年2回の利上げを示唆することでしょう。

(カバー写真:Kristin Van den Eede/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年6月15日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。