フロリダ州銃乱射事件が発生してから約1週間が経ち、米大統領選の世論調査の結果が出て参りました。
ロイター/イプソスの調査では、民主党のクリントン候補の支持率は45.5%、共和党のトランプ候補への支持率は34.8%。クリントン候補のリードは10.7%ポイントと、1週間前の14.3%ポイントから縮小していました。サンバーナディーノ事件後と同じく、トランプ候補が巻き返すきっかけを与えています。さらにトランプ候補が提案するイスラム教徒を含む移民入国禁止に45%が支持し、1ヵ月前の41.9%から上昇していました。一方で、民主党並びに共和党の支持者のうち70%が少なくとも緩やかな銃規制の強化を求めると回答。2013〜2014年当時の60%を上回っていたといいます。
ブルームバーグ調査(6/10〜13に実施)では、異なる結果が現れました。
クリントン候補の支持率は49%、トランプ候補は37%とその差は12%に及びます。注目は独立派でリバタリアンのゲイリー・ジョンソン候補で9%を獲得しており、トランプ候補の支持を奪うサインを点灯させていました。
ただし、フロリダ州乱射事件やテロへの戦いの項目でみるとトランプ候補に軍配が上がります。
・フロリダ州乱射事件のような事態への対応で信認できる候補は?
トランプ候補 45%>クリントン候補41%
・テロとの戦いにおける対応で信認できる候補は?
トランプ候補 50%>クリントン候補 45%
クリントン候補の場合はベンガジ事件とメール問題という傷を持つだけに、どうしてもトランプ候補がリードしてしまうのでしょう。
総合的な世論調査の結果では44.9%対39.1%と、再びクリントン候補が優勢に。
もうひとつの世論調査を振り返ってみましょう。ワシントン・ポスト紙への取材拒否を表明したトランプ候補、そのWP紙での世論調査でタイミング良くこんな数字が出てきました。
トランプ候補による取材拒否、事の発端はWP紙による「トランプ候補は、フロリダ州銃乱射事件とオバマ米大統領を関連づけようとしている」との報道。トランプ候補は親会社であるアマゾンのジェフ・ベゾフ最高経営責任者(CEO)を非難する一幕もありました。今回の騒動をきっかけに、トランプ陣営が取材拒否するメディア・リストが取り沙汰されています。WP紙のほか政治情報で定評のあるポリティコのほかリベラル寄りのハフィントン・ポスト、ミレニアル層向けバズフィードなどが含まれ、少しでも自身に批判的なニュースを発信したメディアを一掃した感は禁じ得ません。
話を元に戻して。WP紙の世論調査ではトランプ候補の不支持率が70%と同氏の立候補以来で最悪を記録したことが分かっています。そのうち過半数の56%が「大いに好ましくない」でした。WP紙がリベラル寄りであるという事情を加味しても、興味深いですよね。
(カバー写真:Marco Verch/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年6月19日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。