米国の石油備蓄量がサウジとロシア超え?

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米国の石油備蓄量が、初めてサウジアラビアとロシアを超える——そんなレポートが話題になっています。

ノルウェーのオスロを拠点とするRystad Energyが、米国で生産可能かつ未開拓を含めた油田から産油量推計を弾き出したところ2640億バレルなり、サウジアラビアの2120億バレル、及びロシアの2560億バレルを上回ったのだとか。

その他Rystad Energyが3年に及ぶ調査を経て導き出した数字では、全世界には6万もの油田が広がり、産油量は2.1兆バレルと現在の年間産油量300億バレルの70倍に及ぶことも分かりました。予想より長く石油生産が可能であるほか、米国で原油が賄えるとなれば供給のだぶつきが予想されますね。さらに足元ではBREXITによる成長鈍化やリスク資産からの資金流出もあり、原油先物価格を圧迫しかねません。

英国からは、明るい話題が舞い込んできました。

イングランド銀行は、BREXITを受けて利下げを断行する前に行動に出ています。カーニー総裁は、半期に一度の金融安定政策委員会(FPC)の報告にて市中銀行に義務付けるカウンター・シクリカル、つまり景気循環的な悪影響を抑制する資本バッファー(Counter-Cyclical Capital Buffer)の比率を0.5%から0%へ引き下げを決定したと表明。同水準は、少なくとも2017年6月まで据え置く見通しだといいます。3月にはBREXIT前の対策として0.5%へ引き上げたばかりでしたが、BREXITを決断した国民投票後は海外マネーの資金流出並びに銀行の貸出萎縮を打開するため、対応策を講じた格好です。

オックスフォード大卒で研究者の奥様も有名だったりする、カーニー総裁。
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(出所:Nationalist

今回の決定により、1500億ポンドが市中に流入し家計や企業の融資に振り向けられる期待があります。特に商業不動産はBREXIT懸念から海外マネーが1〜3月期に50%落ち込んでいただけに、必要とされていることでしょう。一方で、BOEは銀行に対し株主還元策となる増配などに使わないよう釘を刺すのも忘れません。

BOEの決断も空しく、米株と欧州株は下落中。市場がさらなる緩和策を求め催促相場に入って来たのか、あるいは次なる災難を予想しているのかは、神のみぞ知るといったところでしょう。筆者は、7〜9月期が肝であると同時に各国の緩和策というカンフル剤で年末にかけては回復を見込んでいます。

(カバー写真:Beyond Coal & Gas Image/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年7月5日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。