天皇陛下の生前退位と皇室典範

昨夜のニュースで、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されていることが明らかになったという話が大きく取り上げられていました。

82歳の陛下が数年内の譲位を望まれているとのことですが、皇室に関する事項を規定している皇室典範(法律)には生前退位の規定がないため、改正しなければ実現は難しい状況です。

このことについては、「皇位の安定性という観点から丹念に検討すべき」、「摂政の仕組みを活用すればよい」といった慎重論や不要論もあります。

しかし、陛下が自らご決断されたにもかかわらず退位できないというのは、それはそれで問題があります(他国の王室では、生前退位が認められているところが多くあります)。

出処進退を政治利用されるおそれを懸念する声もありますが、そもそも現在の天皇は国政に関する権能を有しないとされているため、そのリスクは小さいはずです。

皇室典範の上位ルールである憲法に書いてあるのは、「皇位は、世襲のもの」ということだけであり、ここから導き出されるのは、養子が天皇になるのは不可能ということくらい(生前退位も女性天皇も憲法上は可能)。

天皇制度の未来や、ご健康面やご公務のことを考えれば、今後は生前退位ができるように改正をするべきだと思います。いずれにせよ、高齢になられた天皇陛下のご負担を減らせるような仕組みを作り上げると同時に、皇位継承問題(女性天皇等)も含め、今回を機に徹底した議論を行う必要があります。


編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会)のオフィシャルブログ 2016年7月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。