「台湾籍を持つ人には中国法が適用される」というウソ

山田 肇

朝日新聞が9月8日付朝刊で「政治家と国籍、論点は 蓮舫氏「念のため」台湾籍放棄 外国籍離脱は努力義務」という記事を掲載している。この問題の発端について、「蓮舫氏への批判が広がったのは、元通産官僚の大学院教授の指摘を、ネットの言論サイト「アゴラ」が取り上げ、夕刊フジが報道したのがきっかけ。」と書いた点は、八幡和郎氏の名前こそ挙げていないが、「ネット」というだけでごまかしてきた他メディアとは異なり評価できる。

しかし、台湾籍を持つ人には中国法が適用される可能性がある、と次のように書いてあるのは合点がいかない。

日本政府は台湾と国交がないため、日本国内で台湾籍を持つ人には、中国の法律が適用されるとの立場をとる。中国の国籍法は「外国に定住している中国人で、自己の意思で外国籍を取得した者は、中国籍を自動的に失う」などと規定。中国法に基づけば、蓮舫氏が日本国籍を取得した85年の時点で、中国籍を喪失したという解釈が成り立つ余地がある。

もし、台湾籍を持つ人々の人権や財産権を全面的に否定する法律を中国が定めたら、日本国内でもそれが適用されるのだろうか。蓮舫氏を守るために記事はわざわざ一段落を費やしたのだろうが、その論理の危険性に朝日新聞は気づかなかったろうか。

日本国籍だけであることを示す証拠を蓮舫氏が早急に公開すれば、それが一番良い解決策だ。なぜ、朝日新聞はそれを提案しないのだろう。