ブレイナードFRB理事のスタンスはブレず、それでも9月の米利上げの可能性はある

FRBのブレイナード理事は12日のシカゴでの講演で「米経済は成長力が鈍化しており、金融引き締めは慎重さが求められる」と述べた。利上げの是非は「数か月先までのデータをみて判断したい」として、次回会合での決断は時期尚早との見方を示した(日経電子版)。

13日から1週間は金融政策の情報発信を控えるいわゆる「ブラックアウト期間」に入ることで、このブレイナード理事の発言内容が注目されていた。いわゆ るハト派であり、これまでもFRBの利上げについては慎重な発言を繰り返していた。そのブレイナード理事が、早期利上げを示唆するようなことになると9月 20、21日のFOMCでの利上げの可能性が一気に高まるとの見方もあったが、ブレイナード理事のスタンスはブレてはいなかった。

イエレン議長、フッシャー副議長、さらにニューヨーク連銀のダドリー総裁はそれぞれ補完しあうかたちで、早期利上げの可能性を織り込ませようとしてい た。それに対して今回のブレイナード理事が早期利上げに対して慎重姿勢をあらためて示し、またそれに先だってタルーロ理事もやはり慎重な姿勢をみせてい た。

タルーロ理事はインタビューで「私の見解では、講じる措置の内容にかかわらず、現時点で最も望ましいのはインフレ率の上昇が続き、目標に近い水準を維持するという実際の証拠を目にすることだ」と指摘した(ブルームバーグ)。

ブレイナード理事の発言を受けて、市場では20、21日のFOMCでの利上げ予測は大きく低下した。しかし、利上げの可能性は依然として高いと個人的に は見ている。ブレイナード理事は昨年12月のFOMCで利上げを決定した2週間前に「利上げには慎重を期し、実施するときにはゆっくりとしたペースで進め るべき」と発言しており、そのスタンスにブレはない。

ブレイナード理事は民主党の大統領候補のクリントン氏にも近いとされており、クリントン氏が大統領となった際には財務長官の候補の一人ともされている。 FRBの建物内では意図的なものがあったのかどうかはわからないが、ブレイナード理事の部屋はイエレン議長の部屋の隣だそうである。それだけの権力を持っ ているのではとの見方があり、だからこそ今回のブレイナード理事の講演内容が注目された面もあった。

クリントン候補が大統領に選出されると、さらにブレイナード理事の存在感を強めることとなり、12月のFOMCでの追加利上げは9月に比べると不安定要素が多くやりづらくなることも予想される。

共和党のトランプ候補は12日のインタビューでFRBがオバマ政権の意向に沿って政策金利を低く維持しているなどと述べ、FRBを批判したそうである。もしトランプ氏が大統領になった場合に、あらためてFRBに対する圧力を強めることも予想される。

FRBの正常化路線はまだ道半ばであるが、年内少なくともあと一回の利上げを行いたいのであれば、そのタイミングとしては12月よりも9月20、21日 の方がやりやすい。また物価が上がりにくい環境となっていることもあり、慎重になればなるほど先々で利上げがしにくくなることも予想される。正常化路線と してのFRBの利上げは、まさに今でしょうということになるのではないかと私は思っている。

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編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2016年9月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。