就活のエントリーは片っ端から。ドタキャンも問題ない

尾藤 克之
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多くの就活本では、「エントリーする企業を絞る」ことを推奨している。まずこれはやめた方が良い。「エントリー企業数を絞る」ことは、チャンスを狭めることと同じである。

確かに、受験する企業数を絞ることで、企業研究や対策の時間が取りやすくなり、志望企業に注力できるメリットはあるかも知れない。しかし、絞るということは必然的に、視野を狭めてチャンスを棒に振ることと同じである。

100社でも、200社でもエントリーできる限り多くの企業に申し込むべきだ。できれば「片っ端からエントリー」をしてもらいたい。それが内定を取得する際の近道である。

たくさんエントリーしても受験できないという学生もいるだろう。全部受ける必要は無い。企業はエントリー数に応じて準備をするので、数日前にキャンセルをすれば問題はない。詳細な理由など説明する必要もない。どうしてもと聞かれたら一身上の都合で充分だろう。

■エントリーシートはコピペで充分

就活の初期段階でエントリーシートが読まれることはまず無い。せいぜい、個人面接に移行してからである。また、エントリーシートがどんなに素晴らしくても内定に及ぼす影響度は稀少である。であるならば、時間をかけるのはムダというものだ。

業界別に数パターンのエントリーシートを準備しておけば問題ない。また、内容は奇をてらったことを書く必要性は全く無い。平易な目立たないものが好まれる。平易で目立たないことは日本企業において美徳とされるからだ。

エントリーシートのようなものに時間をかけるから、お祈りメールが来た時にショックを受ける。だから、エントリーをするために最低限の体裁を整えておけば問題はない。

人気企業でなくても上場企業であれば、相当数のエントリーが殺到する。採用数に関わらず、人事担当者は数名が一般的だろう。仮に2名として1万人のエントリーシートを読むのにどの程度の時間がかかるのだろうか。

1枚1分としたところで、採点をしなくてはいけないから、1時間でこなせるのは30枚程度のものだ。1日の実働8時間として考えて、240枚。1万人のエントリーシートを採点するには41日かかる。1ヶ月の稼動を20日とするなら、ざっと2ヶ月はかかる勘定だ。2名でこなしたとしても1ヶ月はかかる。

これは、他の業務を一切せずにエントリーシートの採点のみに費やすだけで、その程度の時間がかかるということである。

結局、全てのエントリーシートを読むことは非効率だから、スクリーニングをしなくてはいけない。学校名や写真映りなどによるスクリーニングである。つまり、エントリーシートに時間をかけることは極めて非効率であることは分かると思う。

■内定がとれなければ報われない

なぜ、これらの事実を企業は明らかにしないのか。それは、学生は企業にとってお客様だからである。お客様に失礼な対応はできない。仮に「落ちた」としても、気持ちよくネガティブな印象を持つことなくフェードアウトしてもらう必要性がある。そのために厳選採用を演出しなくてはいけない。

また、就職ナビを運営している会社は、掲載する企業から掲載料を払ってもらって情報を掲載する。企業と学生を繋ぐための適切な情報を掲載する義務は無い。

不用意な情報を公開して、学生が就活の矛盾を知ってしまったら、就活と採用は成立しなくなる。だから、企業は費用をかけて見栄えの良い、入社案内やホームページを用意して学生を引き込まなくてはいけないのである。

まずは、本日のおさらいをしよう。企業は片っ端からエントリーすること。エントリーシートはコピペすること。この2点を確実に抑えておきたい。結局、内定に至らなければ格好をつけたって報われない。効率よく内定にこぎ着けなくてはいけない。

尾藤克之
コラムニスト

PS

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