日米株価の行方

岡本 裕明

私は株の予想屋ではないのであくまでも個人的な趣味の世界という意味でつぶやかせてもらいます。

秋というのは株の世界では何かしらトラブルがつきもので過去もブラックマンディにしろリーマンショックにしろ大体、秋に異変が起きるようになっています。このマグマだまりが突然壊れやすくなる理由は何処にあるのか、といえば個人的には12月決算が多い企業のポジションと9月の新年度入りというタイミングにも理由がありそうな気がします。

海外では9月から学校がスタートするように企業でも「事始め」である場合も多いのですが、その4か月後には年末を迎えるわけです。また、12月はクリスマスで実質的に機能しないため、9-11月が残された稼働期間。ここに微妙なバイアスがかかりやすいのかな、という気がしてなりません。

では、2016年の秋には何か起きるのか、といえば何もないに越したことはありませんが、世界に様々な無理がかかっている中、要注意の状況にあることは間違いありません。

世界を概観して私が気になる問題を羅列すると
1. 政治の世界のポピュリズムとナショナリズムの具現化はあるのか?
これはアメリカ、イタリア、オーストリア等で選挙や国民投票がいくつか控えている中、その結果が連鎖反応を引き起こす可能性です。

2. 地政学的リスク
ズバリ北朝鮮です。また、中国も国内政治力学で常識的判断が欠如することがあります。更にフィリピンのドゥテルテ大統領の思想はあまりにも独特で台風の目になる気がしています。今は国内治安安定に精力を傾けていますが、これが外に向いた時、そして90%の支持率が物語るものはかつて我々も経験したあのピクチャーでしょうか?

3. 金融緩和の行方
まずは21日の日米両国の定例金融政策会議の結果を待つことになりますが、2008年リーマンショックの時からスタートとした金融緩和が生み出した資本主義の歪みはうろつくマネーそして国際税務問題を引き起こしています。その矛先をどう収めるのか、今はその時代に入っていることを金融政策当局もわかっているはずです。

4. 根拠なき熱狂
これはアメリカの株式市場を指しています。現在の米国株のヒートアップ振りは2000年代初頭のITバブル、2007年ごろの住宅バブルと同様かあるいはそれを超える水準に達しています。かつてのバブルはそこでパーンと弾けています。今回の熱狂が前回と違うのはITや不動産という信じるものが今回はないまま、いつの間にか熱狂相場になっているのはカネ余りそのものを表しているといえましょう。

5. 資源価格の低迷
原油価格は年後半にもう少し戻すとみていました。供給調整の問題もありますが、需要が伸びない方がもっと深刻でそれは新興国が「中進国の罠」に陥っている可能性でしょうか?この罠の最大の原因は供給型経済から知識集約型経済に移行できないことが原因の一つですが、それは教育や社会インフラ整備には何十年もかかるので物質の豊かさとは違うのだという意味でもあります。

私は評論家的立場というよりそれなりの額の運用資金を扱っている実務者として「さて、この秋、どう対処していけばよいかな?」と思案に暮れているのです。北米でGICと称する元本保証型定期預金の利率は私の会社が貰っているレートで1.07%程度。運用の目標は最低4.5%ですから当然、リスクヘッジにはなってもこれではどうにもなりません。

そこでポートフォリオを組むわけですが、結局、高利回りの米国REITを含むインカムゲインを基調にアクセントで株式の利ザヤ狙いという手法でしょうか?ただ、株価が非常に高いところにある今の時代、長期投資で成長を見るとなかなか難しいというのが正直な気持ちであります。

アメリカのREITは種類が多く、私が資金を投じているところは10-12%以上のリターンとなりますが、当然アメリカ経済に問題が生じれば大きく価値が棄損するリスクと常に背中合わせ。カナダの大手銀行なら4-5%の配当がとれるところもあり、ミディアムリスク。個人的には製薬会社でばくちを打ち、中国系ITにも資金を投じています。産金会社や資源会社の株式は私の場合、もともとのポートフォリオが大きいのですが、ここからはリバランスをしながら小刻みな対応が必要だと感じています。

ポイントは長期投資資金故に「どんと構える」ということではないでしょうか?株価が半分になってもうろたえないだけのリスク管理だと思います。それには配当があるかないかは大きな違いがあります。日本国内株式も同様ではないでしょうか?

毎日のニュースに振り回されない相場との付き合い方がこれからは必要かもしれません。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 9月19日付より