イギリスの中央銀行総裁はイギリスとカナダとアイルランドの国籍を持ち、トニー・ブレア元首相とイギリスとアイルランドの二重国籍。彼我の違いはかくの如し。福本容子記者のコラムです。 https://t.co/1oo6ERTymh
— 小川一 (@pinpinkiri) 2016年9月15日
この変な日本語が、毎日新聞取締役のツイートなんだから恐れ入る。「母親がアイルランド出身のブレア元首相もアイルランドとイギリスの二重国籍らしい」と自信なさそうに書いている福本容子論説委員は、イギリスの国籍法を知らないのだろう。イギリスは(条件つき)出生地主義なので、母親の血統は子供と無関係だ。
今年7月1日のWashington Postによれば、イギリスのEU離脱の先頭に立ちながら、保守党の党首選に出馬しないと表明して世界を驚かせたボリス・ジョンソンは、ニューヨークで生まれたのでアメリカ国籍をもっていた。したがって彼はイギリスと二重国籍なので「アメリカ大統領にはなれるが、イギリス首相にはならない」。
蓮舫代表と同じく、彼も「アメリカ大使館にコンタクトする」などと言い逃れしたが、確認できなかった(つまり二重国籍だった)。出馬を断念した理由は他にもあるだろうが、これが決定的な失敗だった。
Andrew Blick, a political history professor at King’s College in London, said there are few formal requirements for the position but that no premier has held a dual citizenship.
法的には二重国籍者が首相になることを禁じる規定はないが、歴史上、首相が二重国籍をもったことはない。つまりブレア首相も二重国籍ではなかった(彼の子供がアイルランド国籍をとったことが話題になった)。毎日新聞は、福本記者の誤報(名誉毀損になりかねない)を紙面で訂正していただきたい。
頭の悪い毎日新聞には何度いってもわからないようだからもう一度いうが、二重国籍そのものは一般人なら大した問題ではない。しかしどこの国でも公務員の国籍はきびしくチェックしており、イギリスでもイングランド銀行はかまわないが、軍人や外交官には二重国籍を禁じている。まして首相に二重国籍なんてありえないから、法律で禁じていないのだ。ジョンソンは国籍の重さを知っているから、首相を辞退した。
私は維新の出している国会議員の二重国籍を禁じる法案には反対だ。閣僚(国家公務員)以外の国会議員には、二重国籍を認める国が多い。蓮舫氏が「台湾系日本人」を代表して、多様な民意を反映させることも一つの考え方だ。この場合は逆に、法改正で二重国籍を認めた上で国籍の公表を義務づけ、彼女のやったような経歴詐称は当選無効にすべきだ。