【映画評】アングリーバード

The Art of アングリーバード(ジ・アート・オブ アングリーバード)

飛べない鳥たちが平和に暮らすバードアイランド。個性的な太いマユを持つレッドは、なぜだかいつも怒ってばかりで、島では浮いた存在だ。ある日、島を、緑色のブタの大群・ピッグ軍団が訪れる。彼らはバードたちと仲良くなり、バードたちも丁寧にもてなすが、ある時ピッグ軍団は大切なバードの卵をすべて奪ってしまう。ピッグ軍団の悪だくみを知ったレッドは、卵を取り戻すため、お調子者のチャック、身体は大きいが臆病者のボムと共に、伝説のヒーローであるマイティーイーグルを探す旅に出る…。

全世界30億ダウンロードというすさまじい数字をたたきだした大人気モバイルゲームを映画化した「アングリーバード」は、大ヒット作「怪盗グルーの月泥棒 3D」のジョン・コーエンが製作を担当するアニメーションだ。怒ってばかりの主人公バードの怒りは、島を襲った大ピンチを乗り切る際に、怒りを勇気に変えて立ち向かう原動力となる。世界での爆発的な人気に対し、日本ではそれほどの知名度はないという噂の、このゲームをプレーしたことはないのだが、鳥をブタに向かって投げ飛ばすというのがゲームの主な趣旨。それを、約90分とはいえ、長編映画の物語にふくらませるのだから、脚本はかなり苦労したに違いない。

レッドが参加する怒り抑制セラピーや、マイティーイーグルの伝説と現実のギャップなどは、大人を意識した、ちょっぴりブラックな設定だったが、映画は子どもでも楽しめるように、単純明快に構築されている。ゲームファンにとっては、ゲームの世界観が大スクリーン(3D)で展開する様にワクワクするのでは。だが、ゲームになじみのない観客には、ストーリーは少々退屈。北欧フィンランド生まれというこの鳥たちのカラフルで個性的なビジュアルと、怒りん坊のレッド、超ハイテンションのチャック、ビビると爆発するボムの3人(羽)の、メリハリが効いたキャラの魅力がすべてだった。
【50点】
(原題「ANGRY BIRDS」)
(アメリカ/ファーガル・ライリー、クレイ・ケイティス監督/(声)ジョシュ・ギャッド、アイク・バリンホルツ、ピーター・ディンクレイジ、他)
(子ども向け度:★★★☆☆)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。