蓮舫氏問題の今後の重要性

若井 朝彦

現在、民進党代表である蓮舫氏の問題は、早ければここ数日、遅くとも数週の内に、その本質の輪郭が、だれにとっても明瞭になるものと思われる。

そうなればそうなったで、今まで曖昧な表現で蓮舫氏擁護を続けていたいくつかのメディアも、突然「われわれはだまされていた」とうわずった声を上げるかもしれない。またしてもそんな場面に遭遇すると思うと、まったくうんざりだが。

しかしそんな大手マスコミはともかく、日本にとって肝心であるのは、その後ではないだろうか。

この問題は、最初はほんとうに小さな問題だった。政治家としての蓮舫氏一個人の問題であり、せいぜい民進党内部の問題であった。そう考えていたわたしは、

「どんな爆弾を抱えているにしても、民進党のみなさんが、蓮舫氏を代表にお選びになるのなら、それはそれで結構でしょう」

と傍観していた。

しかし蓮舫氏が、「日本にとって中国とは中華人民共和国のみ」という「一つの中国」論による弁明を突然表明した時は唖然とした。

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(上は野嶋剛氏による単独インタヴュー・2016年9月9日掲載のヤフーニュース『国籍放棄問題の渦中にある蓮舫氏』http://news.yahoo.co.jp/feature/349より引用。なおインタヴューがあったのは前日とされる。)

これは到底通用するような議論ではなかったのだが、このことによって、本来的には一個人の日本における法律上の問題を、ほとんど外交問題にしてしまった。

日本においては中華民国つまりは台湾は、法的に国として扱う必要がない旨を、台湾に一方のルーツを持つ蓮舫氏がわざわざ明言してしまった。これはやはりある種の裏切りであろう。

日本と台湾との、とりわけ民間における、デリケートではあるが良好な関係に、容易に修繕できないヒビを入れたと言っても決して大げさではないはずだ。まったく政治家としての資質にかかわる発言であった。

だがこの発言は、もし蓮舫氏が一民間人となったとしても、なかったことにできるものではないだろう。このことを根拠に今後、蓮舫氏を殉教者にしようとする集団もあらわれるかもしれない。

またすでに本人が、たとえ冗談にせよ

「私は岡田克也代表が大好きです。ただ一年半一緒にいて、ほんとにつまらない男だと思います。」
(2016年8月23日・日本外国特派員協会での発言)

と言ったように、今後、出身党である民進党を、台湾を、日本をなんと言うのか判ったものではない。

この問題は、まだまだ慎重に扱わざるを得ない。「二つの日本」というものを望んでいる国は、たしかに存在するからである。

2016/10/16 若井 朝彦

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