米9月耐久財受注、米9月貿易収支・速報値、米10月カンザスシティ連銀製造業景況指数をおさらいしていきます。
米9月耐久財受注は前月比0.1%減となり、市場予想の±0%減から弱含んだ。前月の0.3増(0.1%増から下方修正)から減少に反転。防衛財が7.7%減と前月の27.4%増を下回り3ヵ月ぶりに減少した。
輸送用機器は0.8%減となり、前月の0.6%増(修正値)下回り3ヵ月ぶりに減少した。民間航空機と自動車がそろって増加した。
・民間航空機 12.5%増>前月は24.2%減、6ヵ月平均は10.9%増
・自動車 1.2%増>前月は0.9%増、6ヵ月平均は0.4%増
輸送用機器を除く場合は0.2%増となり、市場予想と一致した。前月の0.1%増(0.2%減から上方修正)を超え、過去6ヵ月間で4回目の増加となる。
コア資本財(企業の設備投資を示す航空機を除いた非防衛財)は1.2%減と、市場予想の0.1%減より弱い結果となった。前月の1.2%増(0.9%増から上方修正)を打ち消し、過去6ヵ月間で3回目の減少を示す。ただ内訳をみると、米9月鉱工業生産が上昇に転じたとはいえ力不足だったように、製造業や鉱業が弱い。
(増加項目)
・電気機器 1.5%増>前月は2.4%減、6ヵ月平均は0.5%増
・機械 1.2%増>前月は±0%、6ヵ月平均は±0%
(減少項目)
・一次金属 0.3%減<前月は0.8%増、6ヵ月平均は0.2%減
・コンピューター/電子機器 0.4%減<前月は0.1%減、6ヵ月平均は0.6%増
・組み立て金属 1.0%減<前月は0.2%減、6ヵ月平均は0.4%増
耐久財出荷は前月比0.8%増となり、前月の±0%(修正値)から増加に転じた。過去6ヵ月間で3回目の増加となる。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財は0.3%増となり、市場予想と一致、前月の±0%(0.1%減から上方修正)から転じ5ヵ月ぶりに増加に転じた。
コア資本財、前年比では減少を継続。
耐久財在庫は0.1%増となり、前月の0.1%増を含め3ヵ月連続で増加した。出荷の増加率が在庫を上回ったため、在庫相当は前月の1.65ヵ月から1.64ヵ月へ短縮した。
▽米9月貿易収支・速報値、輸出が増加し続け赤字は前月から改善
米9月貿易収支・速報値は560.8億ドルの赤字となり、市場予想の605億ドルを下回った。前月の591.49億ドル(592億ドルから修正)にも及ばず、赤字が縮小。2015年8月以来の高水準だった6月の645.38億ドル(修正値)から、改善をたどる。輸出が前月比0.9%増(前年比5.6%増)の1256.47億ドルと、2ヵ月連続で増加した。輸入は同0.1%減(前年比2.1%減)の1817.30億ドル。輸出が増加しただけでなく輸入が減少し、赤字が縮小した。
▽米10月カンザスシティ連銀製造業景況指数、分岐点を回復
米10月カンザスシティ連銀製造業景況指数は6となり、市場予想の3を上回った。前月と変わらず、2014年12月以来の高水準を維持し2ヵ月連続で分岐点乗せ。内訳をみると、新規受注が20、出荷が18とそれぞれ2ヵ月連続で分岐点に乗せ、2011年以来のレベルへ上昇した。雇用も7と2014年12月以来の分岐点を回復している。見通し指数は16と、2015年1月以来の高水準を果たした。
――JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、米9月耐久財受注や米9月貿易収支・速報値を手掛かりに「米7~9月期GDPの予想を従来の3.3%増から3.6%増」へ引き上げました。JPモルガンだけではありません。バークレイズは2.5%増→3.0%増、BNPパリバも2.7%増→3.0%増と、上方修正が目立ちます。米9月耐久財受注でのコア資本財出荷が予想通り増加したほか、米9月貿易収支・速報値での赤字縮小が大きな決め手となりました。
アトランタ連銀はというと、27日時点で米7~9月期GDP予測値を2.0%増から2.1%増へ引き上げました。同連銀の予測値は2015年1~3月期GDP速報値などで確認できる通り整合性が高い。NY連銀も2.2%増にとどまります。
アトランタ連銀が最も慎重な予測、民間エコノミストとの差は0.6ポイント。
連銀エコノミストと民間エコノミストのGDP予測争いはこれまで連銀勢に有利でしたが、今回はどちらに軍配が上がるのか注目です。
(カバー写真:Gene Kogan/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年10月28日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。