外国人の方から、日本の民主主義は、戦後、アメリカによって与えられたものだと暴言がありました。しかし、マッカーサーもそんな前提に立っていませんでした。
昭和21年正月の詔書として出されたいわゆる「人間宣言」があります。これは、その一部に、天皇と国民の絆が神話や伝説だけを根拠にするとか、現人神として崇拝するところから来たものでないという説明があったのでそう呼ばれるます。
しかし、天皇自身は、晩年の記者会見で、この詔書の主旨は、日本の民主主義が外国から持ち込まれたものでなく、明治天皇が採用されたものなのであり、その原点は五箇条の御誓文だと言うことが主眼で現人神否定ではないと強い言葉で説明されました。
この詔書は、五箇条の御誓文の扱いも含めて、昭和天皇とマッカーサーとの間で綿密に打ち合わせたもので、マッカーサーによる憲法草案もその延長線上にあります。
その意味でも明治憲法と戦後民主主義を断絶したものと捉えるのは歴史的な経緯としても間違っており、あとになって左翼の反天皇制論者が言い出したことです。
明治憲法は民主主義を可能にする憲法でした。首相任命権なんかヨーロッパはいまでも国王か大統領が持っています。明治憲法と同じです。イタリアのモンティ内閣のような国会議員抜きの内閣も時々あります。
八幡 和郎
PHP研究所
2016-10-05