銀行の奥に永久に眠り続ける、忘れられた休眠預金。
それを、貧困の子ども達や、難病の人々のため等、みんなの社会福祉に使っていこうよ、という法案が、今9合目のところまで来ています。
安心してください。皆さんの預金がなくなるわけではありません。
何年何十年経っても、銀行に行けば返してもらえます。
ただ、思い出して引き出す人は最大でも4割くらいで、多くの忘れられた預金は毎年うず高く積もり、1000億円近くなっているんです。
この状況に気づいたのが、2009年。低所得のひとり親支援をしていた僕は、子どもの進学の時に本当に苦労するお母さん達を見てきました。ああ、このタイミングでお金を貸せたら、ちょうど良い奨学金があったら、と思って、たまたま韓国のNPOの人に話したら、「うちの国では休眠預金を活用したマイクロファイナンスが始まるよ」と教えてくれたのでした。
そこで調べてみると、日本は世界最大の休眠預金大国。銀行でただ眠るだけになっていたことが分かります。
超優秀なプロボノ調査員の方々に各国の制度について調べてもらったら、イギリスではBig Society Capital という団体をつくって、休眠預金を社会問題解決のための投資である、社会インパクト投資に使い、多くのNPOや社会事業を生み出し、人々を助けているというじゃありませんか。
では、ということで時の民主党政権に提言したところ、古川元久経済財政大臣が採用してくれて、閣議決定。しかしその後の政権交代でご破算になったところ、自民党の菅官房長官を始めとし、坂井学議員や山本ともひろ議員が立ち上がってくださり、実現に向けて検討し始めてくれました。
NPO業界の仲間達も、手を繋いで、共に動いてくれました。そして休眠口座国民会議が結成され、ムーブメントが生み出されていきました。
さらに、困った人々を助けることに、党は関係ない、ということで超党派の議員連盟が結成。会長は塩崎 恭久議員。公明党の谷合議員や民主党の岸本周平議員、(当時)維新の党の柿沢みと議員が参画し、それぞれの党でコンセンサスをつくっていってくれました。
そして幾度も幾度も国会の壁に阻まれながら、ようやく6年越しで、今日2016年11月18日に衆議院を通過しました。
国会の傍聴席で、全議員が賛成の起立を行なった時には、恥ずかしながら議員の方々の姿が、涙でぼやけてしまいました。
万感の思いで、感謝しかありません。
これでどれだけの厳しい環境にある人々を、制度に救われない子ども達を助けられることか、と。
しかし、油断はなりません。日本は二院制。衆議院を通っても参議院を通らなければ、廃案になります。
このまま参議院でも無事通るよう、21日(月)に、参議院議員の方もお呼びして、緊急院内集会を行います。
特にメディアの方々、ぜひお越しください。
実現すれば、世界最大の休眠預金を活用した社会的ファンドが生み出され、多くの苦しむ人々の力になるでしょう。
今が9合目。最後の祈りを、国会に届けたいと思います。
追記
これから休眠預金のことを勉強したい!という方。参考情報まとめはこちら
http://blog.livedoor.jp/mizutanieri/archives/13246598.html
これまでの歩みや基礎知識などはこちら
http://kyumin.jp/
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2016年11月18日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。