【映画評】世界の果てまでヒャッハー!

渡 まち子
TOUS DANS LE SUD (BABYSITING 2: ALL GONE SOUTH)

フランクは、友人たちと共に、恋人ソニアの父親が経営するブラジルの高級リゾート地のホテルを訪れる。フランクはここでソニアにプロポーズする計画を立てていたが、なぜかソニアの祖母の世話をまかされ、ジャングルの秘境ツアーに出掛けるハメになる。だがフランクらは行方不明に。探しに来たソニアが残されたハンディカメラを見ると、そこにはとんでもないアドベンチャーが映っていた…。

バカンスでジャングルに来た若者たちが迷子になってしまい、想像を絶するトラブルに巻き込まれるというドタバタ・アドベンチャー「世界の果てまでヒャッハー!」。念のために言っておくが、ふなっしーではない、フランス映画のコメディーである。本国フランスで大ヒットを飛ばしたという本作は、完全に「ハングオーバー」のノリだ。ハンディカメラの映像でストーリーを追っていくという演出がちょっと凝ってはいるが、基本的にはおバカ映画なので、気軽に楽しめる。

主人公はもともと、フツーの常識人で、バカンスの地で恋人にプロポーズするという、けなげな夢を抱いているだけなのに、周囲のおバカに巻き込まれ、あれよあれよとトンデモないことに。その内容は映画を見て確かめてもらうとしても、従来のフランス映画のイメージを大きく覆してくれる作品であることは間違いない。クドクドと続く文学的、芸術的な会話。おしゃれでエスプリの効いたキャラクターたち。重厚な歴史劇や皮肉な人生の虚しさを描く高尚なヒューマン・ドラマ…。これらとはまったく異次元(低次元というべきか…)の物語がスクリーンいっぱいに広がり、しばし唖然。どこまでいってもくだらないのだが、なぜだか憎めない。おばあちゃんとナマケモノ、最高!である。

【50点】
(原題「ALL GONE SOUTH」)
(フランス/ニコラ・ブナム、フィリップ・ラショー監督/フィリップ・ラショー、クリスチャン・クラヴィエ、アリス・ダヴィ、他)
(おバカ度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年11月21日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は公式サイトより)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。