さて、政府は自衛隊のPKO活動でいわゆる駆けつけ警護を命じました。
駆けつけ警護に関してJapan In Depth に以下の記事を寄稿しております。
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その1 情報編
http://japan-indepth.jp/?p=31070
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その2 火力編
http://japan-indepth.jp/?p=31120
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない。その3 防御力編 前編
http://japan-indepth.jp/?p=31185
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その4 防御力編 後編
http://japan-indepth.jp/?p=31379
自衛隊に駆けつけ警護できる戦闘能力はない その5 戦傷救護編
http://japan-indepth.jp/?p=31436
これらの中では敢えて法制関係にはふれず、軍隊から浮世離れした自衛隊戦闘部隊、特に普通科のそれについて書いております。
一番のキモは自衛隊は基本実戦を想定しておらず、そのための戦備をそなえていないことです。
戦闘で死人がでる、手足がもげることを想定しておりません。
つまりはゴッコでしかないことです。
ですが、多くのメディアや政治家、そして防衛省や自衛隊もその事実に目をつぶっています。
不都合な真実というやつです。
つまり、軍隊と同じ活動ができるよね、という架空の設定で駆けつけ警護が行われようとしております。
上記の記事に対するコメントで多かったのが駆けつけ警護に出すのは施設科の警備部隊であって、
普通科ではないとか、防衛予算を上げろといかいうものでした。
ですが、普通科ですら満足な能力がないのに、施設科の警備部隊には尚更荷が重いでしょう。そもそも彼らは普通科に範を取っています。
そして、いくら防衛費を上げても無駄です。既に世界有数の軍事予算を使っております。
現状自衛隊は、糖尿病患者なのに、毎日牛丼や毎日食べているようなものです。
しかも100円のカップラーメンに500円を払ったり、300円のものに2000円も出すような人です。
普通ランチに2千円も出せるなら、例えばイタリアンレストランで単品でサラダとって、や野菜料理と魚料理を
取るようなバランスのいい栄養のある食事の選択もできるわけです。
ところが毎日バカ高い牛丼やカップ麺をたべている。
こういう人に何倍も給料を増やしても、500円でカップラーメンに1000円払ったり、2000円の牛丼に5000円払うようになるだけです。
つまり、防衛費を増やすのはなんの解決にもなりません。前に防衛費の使い方をかえるべきです。
むしろ防衛費を減らして、無駄使いをができなくなるようにした方が宜しいかもしれません。
昨今の自称保守の人たちは防衛費を増やしたり、憲法を変えれば魔法のように日本の防衛が改善すると思っておられるようですが、それは幼稚なイリュージョンです。
医師会を慮って、衛生の能力向上のための医師法改正もできなく、自衛官を使い捨てにするような連中が、まともに憲法改正なんかできるわけがないじゃないですか。
保守とか愛国者を自称する人たちはサヨクやリベラルをお花畑呼ばわりすることが多いのですが、実態ご自分たちも目くそ鼻くそを笑う程度であることを知りません。
危ない会社とか、頭のおかしい人ほど自覚がないといいますが、それと同じです。
ところが自分たちはリアリストだと思いこんでいるので病が深いわけです。
それから日経でUS-2の輸出が決まったような話がありましたが、あれはガセでした。
例によって日経は平常運転(笑
まあ、仮で決まってもひっくり返るのがあの国ですから、あの記事だけを根拠に、売り込み成功したと
小躍りするのはナイーブというものです。
インド、救難飛行艇12機購入へ 新明和工業が生産
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM05H58_V01C16A1MM8000/
清谷 信一(きよたに・しんいち)
軍事ジャーナリスト、作家。
1962年生まれ、東海大学工学部卒。ジャーナリスト、作家。2003~08年まで英国の軍事専門誌『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』日本特派員を務める。香港を拠点とするカナダの民間軍事研究機関Kanwa Information Center上級アドバイザー、日本ペンクラブ会員。著書:『専守防衛』(祥伝社新書)『防衛破綻──「ガラパゴス化」する自衛隊装備』(中公新書ラクレ)、『軍事を知らずして平和を語るな 』(石破 茂氏との共著 KKベストセラーズ)などがある。
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2016年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。