関西経済界の雄・加護野忠男(かごのただお)先生と意見交換しました。
加護野先生の『経営はだれのものか』、これはお薦め!
長年、漠然と考えていたことがすっきり整理されました。
合理性を追求すると、高い成果が得られない。
すなわち、合理的なものならば、競争相手も同じ選択をするため、競争が生じて小さな成果しか得られないことが多い。また、うまくいくと思ったが、予期せぬ出来事が起こって失敗になってしまった場合、合理的だと思っているわけだから、投資も大きくなる。失敗も大きくなる。
一方、合理的でないものについては、他社が競争してこないので、もし成功すれば利益を独り占めにして大きな成果が得られる可能性がある。仮に失敗しても合理的でないと事前に評価されているわけだから、あまり大きな投資は行われず、失敗も小さい。(153ページ参照)
その上で、「株主代表訴訟制度」など経営者に説明責任を求める一連の統治制度改革は、事前の「合理性」を追求するあまり、日本企業のイノベーションを奪ってしまったのではないかという指摘はとても参考になります。
行政においても、福祉や選挙、徴税など公平性や確実性が重視されるものはさておき、「産業振興」のような分野では、合理性を追求しすぎることが、マイナスになっているのかもしれません。
失敗を過度に恐れない、間違いを認めないということではなく、そこからどのように改善していくかが大切ではないでしょうか。
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<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
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「公私一致」という働き方
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年11月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。