為替レートは予想してはいけない

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円安ドル安が急速に進んでいます。これは円資産に偏っている日本の個人投資家の資産が、気が付かない間に毀損していることを意味します。防止するには外貨資産の比率を高めるという「円安対抗策」を取らなければなりませんが、やってはいけないのが為替レートを予想することです。

本日の日本経済新聞にも為替の「専門家」による年内のドル円レートの予想レンジが掲載されています(写真)。奇妙なことに2人の専門家とも、110円が円高の上限、そして円安は118円~119円とほとんど一致しています。これは現状のドル円のレベル114円を基準に単純にプラスマイナス4円ということだけで、相場観と言えるものではありません。

そもそも、将来の為替レートがいくらになるかは、プロでも滅多に当たるものではありません。この手の予想は読み物としては面白いかもしれませんが、投資をする人は予想を参考にしても意味が無いのです。

それよりもやるべきことは、自分の資産の外貨比率を正確に把握し、必要だと思う外貨比率に調整していくことです。円高か円安かわからなければ円資産と外貨資産を50%ずつにするのが合理的な投資判断です。もしそこに円高、円安といった相場に対する個人的な見通しがあるなら、50%から確信度に応じて比率を調整すべきです。

円安になる確信が少し強ければ、外貨を60%、強い確信があれば外貨を80%というようにし、円高の確信が強ければ逆に円資産の比率を高めていくことになります。

外貨資産比率を高める方法として私が使っているのは、FX(為替証拠金取引)です。ドル買いのポジションを少しずつ積み上げて、外貨の比率を高めるようにしています。このドル買いのポジションは、将来海外不動産を購入する時にドルのまま現受(円に戻さないで出金する方法)して、銀行から海外送金できます。

海外不動産を購入する時になって慌てて外貨を調達するのではなく、先に外貨比率を調整しておいて、その資金から送金するようにすれば、円安リスクをヘッジすることができます(海外不動産の個別情報は新春4か国不動産投資セミナーで提供いたします)。

例えば、1ドル=100円、105円、110円、115円、120円とそれぞれのレートで外貨の買いポジションを10万ドルずつ構築すれば、50万ドルのドル購入レートは平均で110円にすることができます。120円を超えて慌ててドルを調達といった事態は避けられます。

今朝のドル円レートは114円台後半。数か月前から既に15円も円安になってしまい、今更手遅れと思うかもしれません。そんな人は自問してみてください。

「これから数年後100円になる可能性と130円になる可能性のどちらが高いか?」と

絶対に円高になる確信があるなら円資産100%で構いませんが、円高か円安かわからないなら、今からでも外貨比率は50%まで引き上げるのが合理的です。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年12月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。