米財務省が発表している米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES、http://www.ustreas.gov/tic/mfh.txt)によると、最新の数字となる10月分で、これまでトップを走っていた中国を抜いて日本がトップに返り咲いた。手元のデータによると、2015年2月に2008年8月以来6年半ぶりに日本がトップとなったが、その後は再び中国がトップとなっていた。
しかし、今年5月あたりから中国の米国債保有高が減少しはじめ、日本の保有額はある程度の水準が維持されていたことで、久しぶりの逆転となった。中国は人民元の下落に対しての介入資金のために米国債を売却したのではといった観測もあった。
今年初めからの上位10か国は次の通り(単位、10億ドル)
日本(Japan) 1131.9
中国(China, Mainland) 1115.7
アイルランド(Ireland) 271.0
ケイマン諸島(Cayman Islands) 262.0
ブラジル(Brazil) 254.7
スイス(Switzerland) 235.2
ルクセンブルグ(Luxembourg ) 216.0
英国(United Kingdom) 207.2
台湾(Taiwan) 188.6
香港(Hong Kong ) 186.3
上記をみてもわかるように、米国債の保有については日本と中国が突出している。気をつけなければならないのは、それだけの量を保有している米国債の利回りが、ここにきて急上昇していることである。金融機関にとっては金利が上昇することは収益チャンスが拡大することになるので歓迎ながらも、あまりに急激な金利上昇、つまり米国債の価格下落は金融機関の収益に影響を与えることにもなる。
金融庁は、一部の地銀で外債の評価損益が急激に悪化している事態を問題視。主要行や地銀を対象に、金利上昇時の対応状況や市場見通し、今後の対応方針などについて12月から緊急の聴き取りを始めたとのロイターの報道もあった。
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編集部より:この記事は、久保田博幸氏のブログ「牛さん熊さんブログ」2016年12月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。