シドニーのオペラハウスで観光してもあまり楽しくない理由

内藤 忍

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メルボルンからシドニーに移動してきました。観光客も多くとても賑やかな街で、さすがに経済規模が違います。早速、お約束のオペラハウス界隈に出かけてみました。

確かにアイコニックな白い建物とその背景に見える美しい海は素晴らしい観光資源です。しかし、このオーストラリア屈指の観光スポットを歩いていても、メルボルンのような楽しさをなぜか感じません。

その理由は、あまりに観光地として商売っ気が強すぎて、面白味が無く、白けてしまうことにあるようです。オペラハウス近くのレストランで食べたラン チは、確かに美味しいのですが、どこにでもあるステーキとシーフードのお店。一見の観光客相手のありふれたメニュとやる気のない雰囲気でちょっとがっかり でした。

しかしこれは仕方のないことなのかもしれません。どこの国でも観光地化すればするほど、レストランの味は落ち、サービスはいい加減になり、価格だけが上がっていきます。オーストラリアも例外ではありません。

メルボルンは観光地化されていない分、地元の文化に触れる機会が多くありました。また、現地の方に案内してもらったこともあって、地元の人が行くようなローカルなお店で素晴らしい経験ができました。

日本でも例えば東京で、東京タワーや皇居に行くよりも、麻布十番商店街で和食のお店に入るとか、赤羽や立石の朝からやっている居酒屋に行くといった 経験の方が、観光客にはウケると思います。それは、日本でしか絶対に提供できない経験に価値があるからです。美味しいものがあるだけではなく、地元の人と の触れあいやガイドブックに出てこないようなユニークな体験ができることが、観光客のリピーターを増やしていくのだと思います。

シドニーでは高層ビルにある絶景バーに行ってカクテルを飲んでみたり(写真)、観光地として割り切って楽しもうと思っていたら、夕方ホテルの近くを歩いていてユニークなレストランを偶然見つけました。昔の郵便局を改装して作った建物にあるイタリアンです。

観光エリアから少し離れて、地元のお客さんで賑わっているこじんまりとしたお店でした。中庭に面した屋外席で食べるイタリアン(写真下)も美味し かったですが、イタリアから来たという若いウエイターの話がとても印象的でした。旅先の印象は、そこで出会った人とのコミュニケーションによって随分変わ るものです。観光地ズレしていない、素朴で丁寧な接客が逆に観光地としてのシドニーの価値を高めてくれました。

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観光立国を目指すのであれば、日本がやるべきことは築地を移転したり、六本木に高層ビルを建てることではありません。昔から残っているソフトを守っ ていくことです。日本人が路地裏の狭くて古い馴染みのお店に何度も通うのと同じように、観光客もそんな日本らしい雰囲気に触れることに観光の醍醐味を感じ るのです。

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※内藤忍、及び株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、国内外の不動産、実物資産のご紹介、資産配分などの投資アドバイスは行います が、金融商品の個別銘柄の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。また投資の最終判断はご自身の責任でお願いいたします。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年12月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。