死ぬ前に後悔しないよう

ある看護師が末期患者と接するなかで、彼らが口にした後悔の言葉をまとめた記事が出ていました。
http://tabi-labo.com/156441/5-regret-before-die

これによると、末期患者が死ぬ前に後悔することは、「もっと自分らしく生きればよかった」「あんなにガムシャラに働かなくてもよかった」「言いたいことははっきりと言えばよかった」「もっと友達と連絡をとればよかった」「もっと自分の幸せを追求すればよかった」の5つだそうです。

実は、私自身、一昨年頃から原因不明の体の痛みと痺れに悩まされ、病院に行っても独自であれこれ工夫しても症状は悪化の一途を辿りました。大げさでななく本気で「死を覚悟」しました。

そういう時、この記事をたまたま眼にしたのです。

挙げられている5つの中で「もっと友達と連絡をとればよかった」だけは、今からでも遅くないと考え、中学・高校、大学時代などの友人たちに連絡をとったり、お世話になった方々たちに順次お礼をしていくことを始めました。

しかし、これは私のような年齢の者にとっては結構難儀を極める作業で、かれこれ2年くらい経つのに予定の半分にも達していません。私と同年代であったり(お世話になった)上の世代の方々は、ネット上の記録があまりないからです。定期的に改訂されているのは高校の全体名簿くらいですが、それとて「不明」が多いのです。かくなる次第で、くじけることなく現在も友人たちや恩人たちを探し続けている次第です。

はじめてみて嬉しかったのは、ほとんどの方々から好意的な返信をいただいたことです。涙が出るほど嬉しい言葉や著書のお返しをくれる方々が、思っていた以上にたくさんいたのです。今でも、LINEで中学や高校時代の友人たちと交流を深めています。

つくづく、自分がとてもとても多くの人たちに支えられて生きてこれたということを実感しました。

ごくごく僅かですが、(知人らのためにも)放置しておくことのできない悪事や不適切な行為を直接当人に指摘して、大きな反感を買ったこともあります。「過去の精算」と考えているのは私の側だけなので、それは止むを得ないことでしょう。

このような「終活」を続けていて驚いたのは、私自身の体調が回復してきたことです。それまでは、NewsPicks に短いコメントを書くのが精一杯だったのが、昨年の5月からはこうして毎日のように文章を書くことが出来るようになりました。以前に書いた原稿を元に、「本当にあったトンデモ法律トラブル」という新著まで出していただけました。昨年11月には、大学のクラス会にも参加できるようになりました。

思うに、連絡を取り合った友人たちや恩人たちから「力(パワー)」をいただいたのではないでしょうか? もっとも、それは自分の勝手な思い込みであって、実際は単なる自然治癒だったのかもしれません。

いずれにしても、昔の友人・恩人との交流は間違いなく人生を豊かにしてくれます。しかしながら、(人によって異なるでしょうが)想像しているよりはるかに時間がかかるものです。

ですから、少しずつでも構わないので、昔の友人や恩人を探し始めることを、是非みなさんにもお勧めします。

人間誰しも、実年齢より自分は若いと思っており死ぬのはずっとずっと先のことだと感じています。しかし、以下の平均余命表を参考にれば、(明日交通事故で死ななくても)意外に残りの年数が少ないことに気づくはずです。

主な年齢の平均余命|厚生労働省
主な年齢の平均余命について紹介しています。

「いつか始めよう」と思っていると、末期患者になってから後悔することになるかもしれません。

はじめるのは「今」でしょう。


編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年1月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。