データヘルス改革に期待する

厚生労働省が医療と介護のデータ一元化に乗り出したとの報道が相次いでいる。診療報酬と介護報酬の審査支払システムを改修し、医療と介護のデータを一元化したうえで、介護予防や健康増進策の研究などに活用するというのが目的である。このために、厚生労働省は、塩崎厚生労働大臣直下でデータヘルス改革推進本部を1月12日に発足させた

この課題については2016年秋の行政事業レビューでも議論された。アゴラの記事「行政事業レビューで介護納付金について議論した」で言及したが、今までは健康・医療・介護についてバラバラにシステムが作られてきた。しかし、健康・医療・介護は相互に関係するため、データも一元化されるべきである。将来的には、個々人の健康・医療・介護の年次的経緯が蓄積されるシステム(コホート)への転換が期待される。

医療と介護のデータ一元化には費用が掛かる。時間もかかる。しかし、ぜひ進めるべき施策である。それは、若いころから健康増進に取り組むことによって、のちに介護を求める可能性が減るからだ。国全体としても介護負担が軽減される効果が期待できる。

(この段落は専門的なので読み飛ばしてください。)健康増進が介護に及ぼす影響について多くの研究論文がすでに発表されている。老人保健法における基本健康診査の受診者を対象とした仙台市若林区での研究で、男性では貧血と高血糖、女性では喫煙が死亡リスクと要介護認定リスクの両方に関係していることがわかった。低栄養の影響を調べた東北大学の研究によれば、死亡リスクが高く指導が必要となる血清アルブミン値の基準値は3.8g/dLとするのが妥当だそうだ。口腔機能に注目した近大姫路大学の研究は、在宅要支援および要介護高齢者の包括的栄養状態は嚥下機能や口唇閉鎖力と有意に関連していることを明らかにしている。

データヘルスの改革が実現すれば、さらに研究が進展する可能性が高い。大いに期待する。

最後に宣伝。情報通信政策フォーラム(ICPF)では厚生労働省の医療情報企画調整官をお招きして「医療分野のICT化」と題するセミナーを1月17日に開催する。興味をお持ちの方はご参加ください。