国会のペーパーレス化を支持する

日本維新の会が国会審議のペーパーレス化を推進する「国会運営スリム化法案」を提出するという。日本経済新聞が1月2日に報じたが、その後も続報があるので本気らしい

本会議や委員会で議案を印刷して配布する代わりに、タブレット端末に表示できるようにして、印刷の費用や時間を削減する狙いだそうだ。また、地方公聴会もウェブ会議システムを使用して、各地に出向く時間を節約するという。

今までの国会審議は「旧態依然」としか言いようがなかった。典型はテレビ中継される予算委員会での審議。質問者はパネルをかざして質問し、NHKはそのパネルをアップで写す。2016年3月にはパネルがアップされなかったと議員が抗議し、NHK会長が「パネルに限らず、全てのテレビ放送については極力、公平、公正に放送するよう努めている。ある特定の政党のパネルが小さくなることがないように、最大限の努力をします。」と謝罪するという事件も起きている。

説明パネルを、いまだに会議で利用している企業があるだろうか。プレゼンテーションツールを使うのが当たり前ではないか。国会でも同様にすればよい。必要があれば動画も表示できるし、NHKにプレゼンテーションのデータを渡すのも簡単だ。ペーパーレスで会議を実施している企業は多く、そのためのシステムを提供しているベンダーも何社もある。すでに取締役会議事録の電子化も法的に認められている。なぜ、国会だけは紙文化のままだったのだろうか。

せっかく議員にタブレットを配布するのであれば、審議中にネットにアクセスすることも許すべきだ。最新の情報をネットで把握して質問することも可能になるからだ。衆議院規則第215条には「議事中は参考のためにするものを除いては新聞紙及び書籍等を閲読してはならない。」とあり、それがタブレットやスマートフォンを議場に持ち込ませない理由になっているようだが、タブレットで把握する情報は議事の参考になるのではないか。

中國新聞は、全国約60の市議会でペーパーレス化が進みコスト削減と共に議論の活性化につながっていると、1月10日の記事で伝えている。この波を国会まで届けるべきだ。東京都北区議会に聴覚障害の議員が生まれ議場のシステムが更新されたというニュースが昨年流れたが、国会に視覚障害の議員が生まれたら印刷物ベースでの審議を続けることはできなくなる。

日本経済新聞によれば、維新には大量の議員立法を提出する傾向があるようだが、「国会運営スリム化法案」については、広く与野党の賛同を得るように努力し成立させてほしい。