教育をつかさどる文科省がウソはいけない
小学生向けの学習指導要領・生きる力 第3章 「道徳」 には、
「(4)うそをついたり、ごまかしをしたりしないで、素直に伸び伸び生活する。」
と書いてある。
今、この指導要領を一番肝に銘じなければならないのは、文部科学省自身だろう。
今般、政府の再就職等監視委員会によって、文科省による組織ぐるみの違法な再就職あっせん行為が認定された。いわゆる天下り問題だ。
文科省の人事課が関与した「現役ルート」では、口裏合わせのメモ(想定問答)の存在も明らかになっている。
また、人事課OBによる悪質な「脱法」天下りが認定されたことも大きい(OB迂回ルート)。
各省庁には激震が走っていると想像される。
「脱法」天下りあっせんを主導した人事課OB
1月27日の予算委員会での小川淳也議員の指摘によって、この「OB迂回ルート」の全容が明らかになってきた。とりわけ、「文科省」と人事課OBをつなぐ「文教協会」という存在を明らかにしたことは大きい。
ここで三者の関係を整理しておきたい。
私も1月26日の予算委員会で本件について質問したが、その前日に、文科省から徒歩3分のところにある文教フォーラムを訪ねてみた。
すると、小川議員も指摘したように、案内板には不自然にシールが張られていて、その下にはうっすらと「公益財団法人文教協会」と書いてあるのが確認できた。
文科省・天下り公益法人・人事課OBのトライアングル
文教協会は、役員9人中、文科省OBが4人を占める天下り公益法人である。全国の大学の資料冊子の発行や講演・研修などを事業としているが、小川淳也議員の予算委員会での追及によって、
・文教フォーラムの年間約300万円の家賃を、文教協会が肩代わりしていたこと
が明らかになった。
要は、役員の半数近くが天下りで、補助金等でも文科省と密接な関係のある文教協会が、「脱法」天下りあっせんをしていた文教フォーラム理事長、嶋貫氏(図ではR氏)の活動を支えている可能性が浮かび上がってきたのだ。
しかし、ここで一つの疑問が生じた。
一体、嶋貫氏の「脱法」天下りあっせん活動の資金はどこから流れているのか、本当に、文科省や文教協会から嶋貫氏に対して給与・謝金等の支払いを全く行っていないのか。この謎が解けずにいた。 そんなとき、文教協会のホームページを見ていて、あることに気付いた。トップページに大きく「団体扱火災保険事業」のバナー広告が貼ってあることだ。
天下り公益法人が火災保険の集金機関
これは、「国立大学や国立高等専門学校などに在職する文部科学省共済組合員や退職された方を対象」(退職された方には早期退職募集制度も含むそうだ)とした団体扱いの火災保険事業で、文教協会は「集金機関」となっており、実質的な仕事は幹事代理店として、日本橋にある「株式会社第一成和事務所」が指定されている。
ここであることを思いだした。文科省から民進党への回答の中に、「R氏(人事課OBの嶋貫氏)がどのようにして生計を維持していたかについては、文部科学省として関知しておりません。なお、R氏は保険会社や大学の顧問の仕事をしていると聞いています」との記述があったことである。
火災保険代理店に人事課OBが天下り
もし、人事課OBの嶋貫氏が、文教協会が集金機関となっている「文部科学省共済組合団体扱火災保険」に何らかの形で関わり報酬を得ているとすれば、天下り公益法人の文教協会と人事課OBの嶋貫氏が、家賃の肩代わりだけでなく、資金面でつながることになる。
1月27日に私が2回目の質問をした時点では、この関係を明らかにする証拠を手に入れることができていなかった。
しかし、私の質問が終わった直後、秘書が政府が公表している「再就職等報告書」の中から、重要な事実を発見した。
なんと、嶋貫氏が、文教協会の団体扱火災保険の幹事代理店として指定されている「株式会社第一成和事務所」に、「顧問」として再就職していたのだ。
▲政府が公表している「再就職等報告書」(別紙3のp.26)
つまり、嶋貫氏には、文教協会が扱う火災保険代理店の顧問として、報酬が入るようになっていたのだ。
確かに、このスキームだと文科省からも文教協会からも、「直接的」「形式的」には、給与・謝金等が嶋貫氏には払われていない。
そして、その資金が「脱法」天下りあっせんのための実質的な「給料」になっている可能性が高いのである。
こうした実態については、1月27日の質問には間に合わず大臣等に確認できなかったが、今日(30日)の参議院予算委員会で、同僚議員の福山参議院議員から質問してもらった。
とにかく、今回の事件を契機に、「脱法」天下りあっせんの全容を解明し、必要に応じて法規制の網をかけるべきである。
私たちも建設的な提言を続けていくつもりだ。
編集部より:この記事は、衆議院議員・玉木雄一郎氏の公式ブログ 2017年1月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。