非正規労働者をフリーランスに変えよう

山田 肇

経済産業省が「雇用関係によらない働き方」に関する研究会を組織し、昨年11月から議論が続けられている。2月6日に開催された第3回研究会では4000人対象のウェブ調査結果が報告された。調査結果には興味深い内容があった。

2060名の個人事業主(フリーランス)で「現在の働き方に満足」と回答した割合は48%、企業に所属しながら空き時間にフリーランスとして働く1030名では51%、二つの企業に所属するダブルワーク(1030名)でも46%が満足している。年収は単純平均で雇用者全体よりも高く、週当たりの労働時間は大きく変わらない。

フリーランスの4割強(867名)は人脈で仕事を獲得している。一方、仕事を仲介する企業・サービスを利用している243名の年収は6割が200万円以下である。昨年末にキュレーションの低品質が問題になったが、原因の一つとして指摘されたのがクラウドソーシングで集められたフリーランスが低報酬で粗悪記事を乱造していることだった。人脈には限界があるからクラウドソーシングを利用する。しかし、今のクラウドソーシングには最低報酬を管理する機能がないため、低年収という結果をもたらしている。クラウドソーシング提供企業は最低報酬管理機能の導入を検討すべきだ。

フリーランスの54%がスキル形成の講座等の受講をしておらず、受講しない理由として、「スキルアップの必要がない」「受講したい講座・セミナーがない」などが合計70%を占めた。北米の大学を起点とするオンライン講座MOOCは、世界総計で、2015年には570大学が提供し3500万人が受講しているという。わが国にもgaccoというMOOCがあるが、まだ規模は小さい。MOOCの大半は無料で提供されているが、フリーランス向けの専門講座を品質管理して有料で提供してはどうか。

現在の働き方のメリットについてフリーランスの51%が「自分のやりたい仕事が自由に選択できる」、37%が「人間関係の煩わしさがない」を選択した(複数回答)。働き方改革の議論では「正規」「非正規」と雇用関係が前提となっているが、将来的には、非正規をこのようなフリーランスに変えていくのがよいのではないか。