日本時間の2月11日夜中の3時に日米首脳会談の記者会見が行われました。確かに、大統領が通貨安に関する不満に言及した際、113円台で推移していたドル/円は一気に112円台まで突入したものの、それは一時的でした。
総じて、会見は日本にとってネガティブなものではありませんでした。日米の経済に関しては麻生副総理-ペンス副大統領のもとで新たな経済の枠組みを作っていくことも決められ、日米関係に一歩前進を感じさせる会見でした。
注目された為替問題も日米の財務大臣間で綿密な議論をしていくとされ、当面はトランプ大統領が通貨安批判を繰り返すことはなさそうな雰囲気です。ドル/円も113円前半まで戻っています。
同会見でのトランプ大統領の為替に関する発言を以下に載せておきます。
通貨安に関して言えば、私はかなり以前から不満を述べてきました。そして、多くの人の予想よりはるかに早い時期に、われわれ全員が公正な条件で競争できるようになると確信しています。公正な条件というのはこれしかないからです。公正に競争するにはこれしかありません。(NHK)
少し分かりにくい文章ですが、この公正な条件という部分は恐らく、日米で行われる二国間協議のことを指しているんだろうと思われます。具体的には、麻生副総理兼財務大臣とペンス副大統領の間で進んでいく新たな経済の枠組みのことでしょう。
さらに、記者会見全文の日米経済関係に関する部分の抜粋(産経新聞)も載せておきます。
【日米経済関係】
日本および米国は、世界の国内総生産(GDP)の30%を占め、力強い世界経済の維持、金融の安定性の確保および雇用機会の増大という利益を共有する。これらの利益を促進するために、首相および大統領は、国内および世界の経済需要を強化するために相互補完的な財政、金融および構造政策という三本の矢のアプローチを用いていくとのコミットメントを再確認した。両首脳は、おのおのの経済が直面する機会および課題、また、両国、アジア太平洋地域および世界における包摂的成長および繁栄を促進する必要性について議論した。両首脳は、自由で公正な貿易のルールに基づいて、日米両国間および地域における経済関係を強化することに引き続き完全にコミットしていることを強調した。これは、アジア太平洋地域における、貿易および投資に関する高い基準の設定、市場障壁の削減、また、経済および雇用の成長の機会の拡大を含むものである。
日本および米国は、両国間の貿易・投資関係双方の深化と、アジア太平洋地域における貿易、経済成長および高い基準の促進に向けた両国の継続的努力の重要性を再確認した。この目的のため、また、米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱した点に留意し、両首脳は、これらの共有された目的を達成するための最善の方法を探求することを誓約した。これには、日米間で2国間の枠組みに関して議論を行うこと、また、日本が既存のイニシアチブを基礎として地域レベルの進展を引き続き推進することを含む。
さらに、両首脳は、日本および米国の相互の経済的利益を促進するさまざまな分野にわたる協力を探求していくことにつき関心を表明した。
両首脳は、上記およびその他の課題を議論するための経済対話に両国が従事することを決定した。また、両首脳は、地域および国際場裏における協力を継続する意図も再確認した。(産経新聞)
以上の内容を見る限り、週明けからドル/円が一気に110円に突入していくといった悲観的なシナリオは今のところ後退している気がします。次の焦点はイエレンFRB議長の上院銀行委員会で金融政策に関する半期に一度の証言でしょう。日本時間で2月15日夜中の0時から行われます。3月の利上げがあるか否かに注目が集まっています。
仮に、市場の予測に反して3月に利上げがされ、さらに2週間後くらいに発表されるトランプ大統領の税制改革の内容が満足のいくものなら世界中の資金が米国に集まるでしょう。
東猴史紘
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