「平成19年、まだ地域包括ケアシステムという言葉もない時代です。大田区では月1万件の高齢者の相談を受けていましたが、相談に来ない人/来れない人にどうアプローチするか考え始めたんです。」と、語るのは、大田区地域包括支援センター入新井センター長の澤登久雄さん。
「相談に来れる人はサービスと繋がることができる人。本当に深刻なのは相談に来ない人/来れない人ではないかと気づいたんです。」
「でも、職員は既存の相談対応で、既に手いっぱいの状況。地域で暮らす人、働く人を巻き込まなければいけません。」
その問題に気付いた後は、早速、行動することにしました。平成20年には仲間を集めて組織を発足。
「持続可能な仕組みにするため、助成金に頼らず企業などから協賛をいただくことにしました。関心がある人や専門家だけではなく、そうではない人にも勉強会に参加してもらうため地元の百貨店を会場にしたり、参加者にお土産を渡したりしました。」
このあたりは地域力おっはークラブや長島町の地方創生が専門家だけではなく、さまざまな人を集めるために工夫していることと非常によく似ています。
(参考)
⇒ 会議や講演に「30の動き」をつくることで、脳も活性化
⇒ 地方創生「産官学金労言」という落とし穴
勉強会の中で生まれたアイデアを形にしたのが、「みまーもキーホルダー」
「徘徊する高齢者を保護したり、外出先で心筋梗塞などの病気になったりしたときには、緊急連絡先が必要です。でも、すぐには分かりません。病院の先生も本当に困っていました。夜間に外出先から高齢者が救急搬送されたが、意識不明、身元不明。認知症のケースもある。高度医療には本人や家族の同意が必要ですが、すぐに確認できないというわけです。」
そこで、みまーもキーホルダー。
(以下はみまーもホームページより引用)
事前に管轄の地域包括支援センターに個人情報を登録するための申請書を届け出ます。申請登録が済むと、ご本人にこれらの個人情報に対応する「個人番号」の入ったキーホルダーをお渡しします。
キーホルダーには、担当する地域包括支援センターの電話番号とともに、「もし私の身元がわからないときは、ここに連絡してください」というメッセージが添えられているので、 出先などで突然倒れ、緊急搬送された場合などに、 迅速に住所、氏名、緊急連絡先、医療情報等の確認が行える、という仕組みになっています。
キーホルダーには、個人番号しか書かれていないのがミソ。仮に紛失などしても個人情報が流出することはありません。その安心感が多くの高齢者に利用される理由の一つだそうです。
(みまーもホームページより引用)
このシステムは情報が命です。登録情報が最新かつ正確な情報でなくてはなりません。そこで、重要になるのが「登録情報の更新」です。キーホルダーを通して地域包括支援センターとつながった方たちとの「つながりの更新」の意味も含めて年1回、誕生月に管轄の地域包括支援センターに来ていただくことを原則としました。
(引用終わり)
冷蔵庫に個人情報を保管している人もいますが、それではなかなか個人情報が更新されない/本当に必要な外出先では対応できないことが問題です。みまーもキーホルダーは、それらの問題を解決しているのが強み。
そして、それを支えているのが、地域のつながりやさまざまな勉強会というわけです。
超高齢社会を迎えるにあたり、みまーものお話聞いてみませんか。
詳しくは、2月17日(金)朝開催の第72回地域力おっはークラブ
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68621509.html
<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html
<井上貴至の働き方・公私一致>
東京大学校友会ニュース「社会課題に挑戦する卒業生たち」
学生・卒業生への熱いメッセージです!
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68581524.html
<井上貴至の提言>
杯型社会に、求められること
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68619160.html
編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2017年2月11日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。