地方紙は生き残れるのか

毎日新聞に常陽新聞が休刊するという記事が出ていた。前身の新聞が1948年に誕生し53年に「常陽新聞」になった。2013年に廃刊されたが14年に新創刊。しかし、赤字がかさみ休刊するという。地方紙の経営はどうなっているのだろうか。

株式会社メディアバリューが全国紙5紙と地方紙の都道府県別発行部数一覧表を公表している。2015年2月のデータだが、多くの道府県で地方紙が高い占拠率を持っているのに気づく。福井県では全紙合計で24万部販売されたが福井新聞がこのうち85%を占め、北海道では北海道新聞が71%である。

ほとんどの新聞社は経営情報を非公開で、日本ABC協会のデータも無償ではない。ネット情報を集めるしかないが、Wikipediaによれば北海道新聞はピーク時2003年には125万部だったが、2015年にはマイナス14万部と1割以上も減少した。京都新聞は2004年に51万部が2015年には40万部。地方紙には部数減が起きている。

地方紙の不振は記事を配信する通信社にも影を落とす。共同通信の2016年2月期は当期純利益が50億円の赤字。時事通信は2015年度の営業損益が16億円の赤字で、17期連続の巨額損失を計上しているという。

地方紙は新聞業界全体と同様に衰退の傾向にある。ちなみに『情報メディア白書』によれば新聞社の総売り上げは、2003年には販売1兆2640億円・広告7544億円だったが、2014年には1兆765億円・4188億円と、合計5231億円も減少している。北海道新聞のように地域ではガリバーな地方紙はともかく、市場占拠率がもともと低い京都新聞のような地方紙からは読者が離れやすい。2004年の段階で市場占拠率がわずか7.6%しかなかった常陽新聞が休刊したのは、この流れに抵抗できなかったからだ。

そんな中、反権力に舵を切った地方紙も見受けられる。しかし、市場の大勢からは離れてしまうので、生き残り策になるとは思えない。