ミレニアル世代と言えば、21世紀初めに成人を迎えた世代を指しますよね。
米国ではミレニアル世代の人口が2015年に7,540万人に達し、ベビーブーマー世代の7,490万人を上回りました。そのミレニアル世代が米国でも消費に後ろ向きとされるため、しばしば問題視されています。
余談ながら1965〜81年生まれのジェネレーションX、ベビーブーマー世代とミレニアル世代以下という不思議。
(出所:ピュー・リサーチ・センター)
そもそも、なぜ支出できないのか?答えは想定の範囲内で、所得水準が低いためです、ビジネス・インサイダーが米国勢調査局を基に地図を作成したところ、ワシントンD.C.以外の50州で年収の中央値が全て2万7,500ドル以下でした。一部の州では、1万8,000ドル付近に過ぎません。ミレニアル世代にはパートタイム職を含むためどうしても押し下げられてしまい、低くならざるを得ないという実情を割り引く必要があります。とはいえ、2014年の全米の独身世帯・年収中央値の3万2,047ドルに遠く及びません。
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(出所:Business Insider)
ただ上記の数字は、過小評価されている可能性がございます。米国勢調査局のミレニアル層をターゲットにした調査によると、18〜34歳の年収は2013年にインフレ調整ベースで3万3,883ドルでした。そうは言いつつ1980年の3万5,845ドルはもちろん、1980年以来で最高となる2000年の3万7,355ドルに大きく水を開けられています。親と同居する割合も2009〜13年の調査期間中に30.3%と、1980年の22.9%を大きく上回っていました。
有名大学出身である筆者のアメリカ人の友人も大学を卒業してから政府機関に就職したものの、年収は3万ドル(約340万円)に届かず。大学院に入り直したとはいえ、奨学金を支払えるだけの職に就く難しさを嘆いておりました。NY連銀が発表した家計債務調査では学生ローンは1.3億ドル、1人当たりの学生ローン債務額は3万7,172ドルと試算されていますから少しでも多く稼ぎたい気持ちが痛いほど伝わります。ベージュブックでは特殊技能職で人材不足と頻繁に指摘されていますが、IT職など専門的スキルを持つ一部の仕事に限られている模様。ミレニアル世代からアメリカン・ドリームがどんどん遠ざかっていくとともに、政治的思考の変化に注意が必要です。
(カバー写真:Aaron Hawkins/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年3月6日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。