新日本プロレスの「こけし」こと本間朋晃選手が大変なことになっている。3月3日の沖縄大会で、邪道選手の技を受け、中心性頸髄(けいずい)損傷の重傷を負ったのだった。現在も病院で療養中だという。首より下が麻痺しているという。
3月19日に選手日記が更新された。
ここで読むことができる。
頸髄負傷で欠場中の本間朋晃選手より最新の“日記”が到着!! 熱きメッセージを一般公開!!
「日記」が到着というので、そうかキーボードやスマホを使えるようになったかと思いきや、相変わらず首から下は麻痺しているとのこと。
沖縄での試合で邪道選手のDDTをくらった瞬間、今までに味わったことのないような電流が首から下に走りました。
その後、首から下が硬直しピクリとも動きませんでした。
その後、心配してみんな駆けつけてくれて声をかけてくれましたが、だんだん声が聞こえなくなりました。
喋ろうにも声が全く出ませんでした。
だんだん目も見えなくなってきました。
あ~これが三途の川を渡るってことなのかなと思いました。
でもその時に、僕を呼ぶ声が聞こえました。
それでなんとか開眼して一命をとりとめたみたいです。
という記述から事件の深刻さと同時に、一命をとりとめた奇跡とその感動が伝わってくる。
最後は・・・
邪道選手へ
この日記、見てるか見てないのかわかりませんが、しかも言っていいのか悪いのかわかりませんが、言います。
俺は絶対復帰します! 欠場前より筋肉隆々になって、真っ黒くなって、オイルテカテカで邪道選手の前に立ちます! 待ってて下さい。俺は絶対負けません!
復帰したらリング上で絶対言うんだー
こけし is Happy! 幸せになろうぜ!!って。
というメッセージで締めくくっている。
新日本プロレスの所属レスラーやファンはこれを引用し、エールを送っている。
正直、ファンというわけではないのだが、真壁刀義とのタッグは絵になるし、華と毒があり、好きだった。早くリングに戻ってきて欲しい。
とはいえ、この件、本間朋晃選手のメッセージと、レスラーやファンからのエールで美談化されていると感じるのだが・・・。簡単に美談にして良い案件なのだろうか?
日本国内でトップの団体で、しかもアスリート出身の選手、ベテランも多数いる団体でこのような事件が起こった件は看過できないのではないか。プロレスがメジャーなスポーツエンタテインメントになるために足を引っ張る要因になるのではないか。
新日本プロレスでレスラーが大怪我をするのはこれが初めてではない。数年前も、ヨシタツ選手が、AJスタイルズ選手の技を受けるのに失敗し、大怪我をし、長期欠場をしている。現在はリング復帰をしたのだが、WWEで活躍した選手並からすると、一線から外されているようにも見える。まあ、無理は禁物なのだが。練習生が道場で亡くなる、試合後に選手が死亡するなどの事故も起こっている。
今回の事故は、ベテランである邪道選手の技で、やはりベテランである本間朋晃選手が大怪我をしている。二人ともインディーズ団体出身ではあるが、とはいえ、もはや新日本プロレス時代が一番長いくらいの状態になっている。それでも事故は起きてしまう。老舗団体で、ベテラン同士でも起こってしまうのだから、インディーズ団体はより注意をしなくてはならない。幸い、新日本プロレスはリングドクターなどがいる団体で、今回も対応がはやかったのが良かったのだが。ちなみに、この件について対応した三澤氏もまた、獣神サンダー・ライガー選手の浴びせ蹴りという技で大怪我をし、現役引退を余儀なくされた方である。
新日本プロレスはオーナーが何度か、近い将来の上場を明言している。ここ数年、同団体は調子がいいし、一部のレスラー、ユニットなどは社会現象とも言える人気を誇っている。より大きな飛躍のために、今回の件は丁寧に対応し、さらには再発防止に務めることを期待したい。ファンとして、もっとプロレスにワクワクしたいのだ。業界を盛り下げないためにも。プロレス関係者もファンも、プロレスは大怪我をしたり、死ぬことすらあることを意識したい。
「プロレスは死ぬんだ・・・」
プラム麻里子さんが亡くなった時の、獣神サンダー・ライガー選手のコメントを噛み締めたい。プラム麻里子選手の命を奪ったのは、他の選手が放ったかライガーボム(ライガー選手の得意技)だったのだ。
・・・田舎のプロレス発言をした国会議員、これでわかったかな。
編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年3月20日の記事を転載させていただきました(タイトルはアゴラ編集部で改稿)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。