籠池氏が経営する塚本幼稚園の記事が朝日新聞にたくさん出ていた、という記事を先にアップしたが、両者の蜜月関係について他にも証拠を見つけた。籠池氏が塚本幼稚園と同時に経営していた「南港さくら幼稚園」の記事も、また、異様に目立つのである。
朝日新聞記事データベースで検索すると、2016年末までに「南港さくら幼稚園」の記事が61本出てくる。大半はベルマークのことだが、いくつか特別な記事がある。初出は、1992年9月5日朝刊の写真付き記事「遊びながら英語や絵画学ぶ 幼稚園でパソコン学習(青鉛筆)【大阪】」である。次に、1993年10月29日朝刊に写真付き記事「稲の大切さ、園児ら学んだ 南港の学習田で稲刈り体験 /大阪」が掲載され、籠池氏の発言が載った。
籠池園長は「今年はよけいに、農作物の大切さが分かります」と話していた。
田植えについての記事は2004年5月28日にも掲載されている。
1997年3月4日朝刊には写真付き記事として「安治川親方と力士、園児らと相撲 住之江区(青鉛筆) 【大阪】」が載った。2002年3月2日、2003年3月4日、2007年3月3日にも同様の記事がある。大相撲春場所の都度、安治川部屋が訪問したようだが、何回も記事にする価値があったのか。田植えを二回報道にしたのと同様に疑問である。
警察との関係を伝える記事もある。2002年9月3日夕刊には「学校110番」を使って防犯訓練を実施したとの記事が、2003年7月3日朝刊には園児が住之江警察署に七夕飾りをプレゼントしたという記事が出ている。2004年6月27日には幼稚園への侵入者を想定した訓練を実施し、2004年7月4日には、再び、園児が七夕飾りを警察署に贈った。こうして、幼稚園が園児の安全を大切にしている様子が繰り返し広報された。
そのほか、2000年9月14日朝刊には園児が園庭で雪遊びをしたという記事が出て、籠池氏の次の発言が掲載されている。
発案した籠池靖憲園長は「大阪ではめったに降らない雪を経験させてあげたかった」と話した。
ここまでは、幼稚園から朝日新聞にイベント案内が届き、それを取材して記事にしたように思える。しかし、SARSや鳥インフルエンザに関する記事は違う。2003年12月21日朝刊「SARS厳戒 台湾医師騒動の反省生かせるか 【大阪】」は、大阪府などのSARS対応を紹介するという記事の本筋からは外れ、「「クリスマス食事会」のあとにうがいに励む園児ら」という写真が掲載されている。2004年2月5日夕刊の「チョー迷惑 鳥インフルエンザで鳥が疫病神扱い 【大阪】」も同様。動物園などが鳥インフルエンザ対策に追われていることを紹介する中に次の一文があった。
南港さくら幼稚園(籠池靖憲園長)は、園内で放し飼いしていた鶏やチャボなど12羽を業者に一時預かってもらった。籠池園長は「もしものことを考え、園児と鳥との接触を避けようと思った」と話す。
SARSや鳥インフルエンザに教育現場がどう対応しているかを報道するために、わざわざ南港さくら幼稚園を選んでいる。取材を担当した記者の頭に南港さくら幼稚園が真っ先に浮かんだからとしか考えられない。幼稚園から働きかけた取材だけでなく、朝日新聞の側から取材が来たということは、両者が親しい関係にあったことを示す。