多数決では決まらない駆け引き。「議会」は人類の叡智の一つ

音喜多 駿

豊洲市場問題調査特別委員会の理事会が紛糾し、18時に休憩に入ってから、21時現在でまったく再開の気配がありません…。

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同じく午前中に理事会をやっていた予算特別委員会も揉めており、こちらも休憩中で終了の目処が立っていない状況です。

なお、議会(特に理事会)における「休憩」とは、各会派が水面下協議に入る時間のことを意味するだけなので、別にずっとダラダラと休んでいるわけではありません(苦笑)。

何にどう揉めているかは、非公開理事会のためすべて決定してからまたお伝えするとして、こういう時に「議会」というのは本当に良く出来てるなーと心から痛感したりします。

例えば豊洲市場問題調査特別委員会は、議員数の構成が以下のようになっています。

都議会自民党:11名
都議会公明党:4名
東京改革議員団:3名
共産都議団:3名
都民ファースト:1名
生活者ネット:1名

合計23名

最大会派の自民党は、委員長を輩出しています。委員会運営において委員長は絶大な力をもっており、委員会・理事会の開催そのものや発言可否を判断する権限を持ちます。

しかしながら現在、都議会自民党は単独では過半数に到達していません。いかに委員長が強大な権限を持っていたとしても、勝手に質問日を増やしたり、委員会を閉じたり開いたりすることはできない状態です。

だからといって、野党がすべて共闘して過半数を制すれば物事が決められるかというと、そういうわけにはいきません。委員会での「採決(多数決)」に持ち込むためには、委員長の決済が必要になるからです。

委員長が持つ決済権と、多数はが持つ決定権。この二つが絶妙なバランスになって、いまどちらの委員会も「千日手」状態で膠着状態になっていると、まあこのような状況です。

さらに言えば、仮に委員長ポスト+過半数を握った状態であったとしても、委員会にマスコミカメラが入っている状態だと、強引な採決に持ち込めないことまであります。

そのあたりは「舛添問題」の理事会で興味深い展開になった実績がありまして、拙著「東京都の闇を暴く」の中で詳述しました。

東京都の闇を暴く (新潮新書)
音喜多 駿
新潮社
2017-03-16

 

最大会派でも、多数派を形成した勢力でも、最後はどこかで「落とし所」を決めないと、安易に前に進むことはない。

こうした議会という絶妙な「装置」の役割によって、民主主義は「多数派の専制」を許さず、亀の歩みながら大きな間違いを犯さないようになっているのだなあとつくづく思います。

…まあ、おかげでこの時間になっても協議が続き、まったく終わりが見えないわけですが。。

都議会の閉会日まであと一週間。最後の最後まで、「民主主義の妙」を発揮する駆け引きが続いていきそうです。

またご報告致します。それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 33歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、日本初のブロガー議員として活動中。

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