為替報告書、監視リスト対象国や条件を前回から変更せず

トランプ米大統領が中国を「為替操作国と認定しない」と発言した通り、4月公表分の為替報告書は前回分から大きな変更はありませんでした。

監視リスト対象となる3つの条件をはじめ、全体的に前回の流れを維持。トランプ米大統領は選挙中を含め日本や中国に対し自国通貨安に誘導しているとの批判を展開してきましたが、北朝鮮問題を抱えるなか矛先を一旦収めた格好です。

また監視リスト対象国も前回通りで日本や中国、ドイツ、台湾、韓国、スイスの6ヵ国・地域を挙げました。スイス以外は3回連続、スイスは2回連続となります。

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(作成:My Big Apple NY)

今回、中国と台湾を除く4ヵ国が2つの項目に該当していました。中国は前回と変わらず貿易赤字、台湾は介入が減って経常黒字のみとなっています。

中国をめぐっては、足元の人民元買い・ドル売り介入には言及せず、過去10年間にわたって人民元の上昇を回避する介入を行ってきたと説明。貿易の「歪み」をもたらし、「米国の労働力や企業に長きにわたる大いなる困難を与えてきた」との見解を寄せています。また、貿易赤字をめぐり「二国間の貿易黒字(中国の貿易黒字)を縮小する上で進展が見られず懸念している」と指摘。その上で「中国が米国に対し一段の市場開放を進め、内需主導の経済へ早急に改革を行うことが二国間の貿易収支の縮小を支援する」と結論づけていました。

日本については、経常収支につき対外収支がプラスで黒字を支えていると説明しつつ貿易も重要な牽引役だと指摘。日本経済をめぐっては「内需の伸びが引き続き弱く、異例なまでにインフレは低水準にある」ため、「あらゆる政策手段を使うことが必要」との認識を示します。その上で「緩和的な金融政策や柔軟な財政政策に加え、労働市場、生産性引き上げ、長期経済見通しを改善する上で構造改革の実施を意味する」と結びました。緩和的な金融政策の実施継続の言及をはじめ、大枠は前回と変わらず。確かに「実効実質為替レートで20年平均から20%円安方向にある」との指摘を確認していますが、その後に「国際通貨基金(IMF)の評価で、円は概して中期的なファンダメンタルズに沿って推移している」と続くため、日本を名指しにして是正を求める構えというわけでもないでしょう。

(カバー写真:Treasury


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年4月16日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。