売れた本の基準とは?

常見 陽平

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おかげ様で、昨日、最新作『なぜ、残業はなくならないのか』の重版が決定した。2刷12,000部となった。嬉しい。自分の本に重版がかかるのは、3年ぶりだろうか。感慨深いものがある。

おかげ様で堅調に売れているようで。昨日は、私の可愛らしい写真入りの広告が朝日新聞に掲載された。同世代の著者で広告に写真が載るのは数名だ。歌って踊れる言論界の星野源としては当然のことなのだが。ただ、売れているがゆえに、そんな日にAmazonが品薄状態というロックな展開だった。

ただ、まだまだこれからだと思う。なんというか、発売後数日で重版がかかるというような「増刷ショー」というのも景気の良い話だけど、それだけじゃないなあと思い。この本は、論争(炎上ではない)を誘発すること、議論の流れが変わること、社会、会社、個人が一ミリでも動くことを意識しており。そして、長く読まれることを祈っている。

官庁・自治体の方、企業の人事の方、さらにはIT企業で働き方改革系のソリューションを提供している方などから興味を持って頂き、共感して頂き、手応えを感じたりはしているが。

ベストセラーの基準もだいぶ変わっており。10年くらい前は、10万部超えの新書はそれなりにあり。10万超えてもベストセラーを名乗れないような空気があったような気がするが。いまや10万部は間違いなくベストセラーだろう。いや、5万部でも。

思うに、自分なりの基準で言うと、3刷以上になった本こそ、売れた本なのではないかと思っている。どんな部数であれ、だ。2刷までは、勢いでなんとかなったりする。重版を話題にする売り方だってあるわけで。最初から出来レースで決まっていたりもする。ただ、3刷以上というのは書店で確実に読者に届いていないと厳しいわけで。たとえ、1000部、2000部ずつくらいの重版であっても、3刷以上になるということは、「読まれている」ということではないか。

この手の話をすると「出版不況もここまできたか」みたいな話になるし、それも事実だが。さらには「それでも本にする意味ってあるのか。ネットニュースでもいいのではないか。電子書籍で切り売りするのはどうか」みたいな話になるのだが。本は残るし、届く。社会を動かす力があると信じている。


というわけで、精一杯の自己主張をしたので、読んでね!


編集部より:この記事は常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2017年4月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。