「急いては事を仕損じる」今の安倍さんに必要な言葉

首相官邸サイトより(編集部)

安倍総理には特に急がなければならない事情はなさそうだから、ここは腰を落としてじっくり構えていただいた方がよさそうである。

天皇の退位特例法案成立の目途が立ち始めたようだから、何としてもこの通常国会でこの特例法を仕上げることである。5月共謀罪解散で7月に衆議院選挙と都議会議員選挙になる可能性が濃厚だ、などと書いておいたが、5月に解散しなければならないようなシビアな政治状況になりそうな可能性はほぼ消滅した。

長島氏が民進党を離党し、細野氏が民進党の代表代行を辞任するなど民進党の内部の亀裂が表面化して、当分の間民進党の党勢回復の兆しは見られないだろう。いつ選挙をやっても同じような結果になることが分かっているのなら、国政の大事な課題を放り投げてわざわざ今の時期に解散し、衆議院選挙を行うまでの必然性はない。

大事な法案は、丁寧に仕上げていった方がいい。

共謀罪関連法案の採決を急ぐ必要性はない。
通常国会の会期を延長して、野党との間に修正協議を進めるくらいの余裕を示していただきたい。
天皇の退位特例法案の採決はどうやら5月の下旬になりそうだから、共謀罪関連法案の採決はその後にすることである。

かつて民主党時代に修正案を提出したくらいだから、いずれは民進党も修正案を出してくるはずである。
多分、維新も修正案を出す。

民進党や維新の修正案を見れば、公明党も修正に動くはずである。
11年前に2度にわたって自公修正案を国会に提出した実績があるのだから、公明党が修正に動けば結局は自民党も無碍には修正の動きに反対できないはずである。

民進党は現時点で共謀罪関連法案の成立に絶対反対の立場を堅持しているようだが、世論が修正に傾けば、必ず修正案の提出に方向転換するはずである。

その時期がいつになるかは分からないが、来週辺りには何らかの動きが出てくるはずだ。

急いては事を仕損じる、というのは、まさに今に一番ふさわしい言葉である。
慌てないで、急げ。

通常国会の延長に腹を括れば、大抵のことはクリアーできる。
7月の都議会議員選挙のことなどは、忘れてもいい。
あれは、東京だけのこと、と割り切ってしまうことである。

まあ、皆さん、十分ご承知のことだと思うが。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年4月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。