昨日、日経新聞が記事にして下さいましたが、この度「ギャンブル依存症支援団体連携協議会」を設立するに至りました。
ギャンブル依存、支援団体が協議会 家族の負担減めざす(日経新聞)
この連携協議会は、全国でギャンブル依存症の支援に関わる民間団体8団体が、初めて横のつながりをもったもので、今後も、志を同じくする団体でギャンブル依存症対策の充実を求めていく所存です。
当協議会の目的は以下の通りです。
・ギャンブル産業への賛否は問わず、ギャンブル依存症対策推進で志を共有し国に働きかけること
・ギャンブル依存症支援に関わる団体の連携を促し、社会全体の好循環を目指すこと
・ギャンブル依存症当事者に巻き込まれたご家族の、精神的・経済的負担を軽減する支援を目指すこと
また参加8団体は以下の通りです。(あいうえお順、一社は一般社団法人)
(一社)大崎大地 代表 大崎 大地(東京)
(一社)グレイスロード 代表 佐々木 広(山梨)
(一社)セルフリカバリー 代表 猪本 光寛(石川)
(NPO)ちゅーりっぷ会長崎ダルク グラフながさき 代表 中川 賀雅(長崎)
(NPO)ヌジュミ 代表 田上 啓子(神奈川)
(NPO)ホープヒル 代表 町田 政明(神奈川)
(一社)ライフトレーニング 代表 出蔵 洸一(福井)
≪事務局≫(一社)ギャンブル依存症問題を考える会 代表 田中 紀子(東京)
ギャンブル依存症対策も本格的な審議が始まり、
<カジノ法>ギャンブル依存症対策、自公が初会合(Yahoo!ニュース 毎日新聞)
カジノの前に、どれだけ実効性のある対策ができるかの正念場に差し掛かっております。
ハッキリ申し上げて、現在対策であげられている
・全国47都道府県に拠点病院の設置
・相談窓口の充実
・入場制限
・アクセス制限
・広告規制
・予防教育の導入
等という対策は、もちろん必要でありますが、
これだけでギャンブル依存症対策は充実するものなどではありません。
一番大変なのは、
・相談に来ようとしない人に、相談に来て貰うこと
・やめようとしない当事者にどう介入し、家族の負担を軽減するか?
・家族特に最も影響を受ける子供たちへの支援をどうするか?
・回復プログラム及び、再発防止に有効なプログラムの研究開発
・回復施設への支援
・地域社会、司法、行政、警察、医療、回復施設、自助グループ等の連携作り
・そして社会への啓発、知識の底上げです
また、対策法案を作る上で最も困難が予想される事項は、
・現在の公営競技及び遊技の管轄省庁を超えて、
ギャンブル依存症対策を一括で取りまとめる省庁の設置。
・対策費のギャンブル産業側からの拠出です。
これら、難問山積み、これまで手付かずだったギャンブル依存症対策を実現するには、
すでに実績のある各団体や、自助グループ等の社会リソースとの連携は不可欠です。
にもかかわらず、この「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」の、論点整理P19のあたりをご覧頂ければおわかりいただけるかと思うのですが、現在、ギャンブル依存症者のうち約8割を占めるといわれるぱちんこに対し、警察庁は相変わらず、ぱちんこ業界団体で作っている「リカバリーサポートネットワーク(RSN)の充実」ってことだけを掲げているんですよね。
この警察庁のRSNへの肩入れって一体なんなんでしょうか?
厚労省だって文科省だって地方自治体だって、ある特定の団体に肩入れするなんてこと絶対にありません。
それなのにぱちんこ業界に「RSNの支援体制を強化しろ!」と警察庁が呼びかけるなんて、違和感しかありません。
だって、そう言ってはなんですが、所詮は数ある電話相談窓口の一つに過ぎず、面倒なこと、大変な所、難しいことは、他の団体がやってるわけですよ。
むしろ業界に多大なる影響力をもつ、警察庁さんなんですから、「各団体との連携を強化し、様々なギャンブル依存症支援団体をサポートすべき!」とおっしゃって頂くべきではないでしょうか?もう時代は動き、業界だってRSNだけで言い訳できる時代は終わったのではないでしょうか?連携がなければ、支援の充実など望めません。
ある記者さんに「こんなに支援団体があるとは知りませんでした!」と言われました。
確かに私たちも連携作りが遅れたことは否めません。
けれどもこれまでだってずっと地域に根付くサポート団体はあったのです。
これからは新しい支援体制作り、そして地域社会との連携作りに力を入れ、ギャンブル依存症対策が、カジノ建設の言い訳程度のものにならぬよう、連携協議会と力をあわせ、国に求めていく所存です。
皆様、どうぞ応援して下さい。
編集部より:この記事は、一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表、田中紀子氏のブログ「in a family way」の2017年4月20日の記事を転載しました(アイキャッチ画像はいらすとや)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「in a family way」をご覧ください。