シアトルのセーフコ・フィールドでイチローが本塁打を打った。これがなんで凄い、感動的かといえば、イチローがシアトルでの最終打席となる可能性の高い打席での本塁打だったからだ。
イチローのシアトルへの登場は3年ぶり。地理的に遠く離れ、リーグも違うので、マイアミに本拠をマーリンズがシアトルにやってくることは滅多にない。となると、次ぎにマーリンズがシアトルに来るのは、また、何年かあとだ。
もちろん、イチローは50歳まで現役を狙っていると言うし、移籍するかも知れないが、普通に考えれば、可能性は高くない。
ならば、三連戦の9回の打席は、観客はこれが、イチローのシアトルでの最終打席であると感じていたはずだ。
それがホームランだったのだから、文学でもドラマでもないなかで、まさにお膳立てでの出来すぎの快打だったのである。
その場にいた人は本当に幸運だった。