今村復興相更迭は当然。後任の吉野氏は自民きっての真面目な議員

安倍内閣の閣僚や自民党の国会議員の劣化が激しくなったな、と思っていたが、それにしてもこれは酷すぎた。

安倍総理が烈火のごとく怒ったのは、当然である。

ここで怒らなかったら、総理には耳がないのか、心がないのか、と安倍総理に批判の矢が集中するところだった。
しかし、北朝鮮問題を抱えている現下の状況で政権の基盤が大きく揺れるようなことになってしまったのでは、如何にも拙い。

今は、何としても政局になるようなことは避けなければならないな、と思っていたが、安倍総理は早々に手を打ったようである。

これはこれでよかった。

事実上の更迭だなどと言われているが、これは更迭以外の何物でもない。
総理のアンテナが錆びついていなかったことは良しとすべきだろう。
総理がご自分の任命責任にまで言及するというのは、異例なことである。

新しい復興大臣に福島県選出の吉野正芳衆議院議員が任命されることになった。
これはいい。案外なクリーンヒットになるかも知れない。

そろそろ復興庁を廃止しようかしら、などという動きが出ていたようだが、福島選出の復興大臣が登場すればそんな非人情、不人情なことはし難くなるはずである。吉野氏は、私が知る限り、自民党の国会議員の中でも最も真面目に自分の仕事に取り組む国会議員の一人である。

ようやくご自分の本来の仕事、念願の仕事に邁進できるポジションに座られることになりましたねえ、と心からお祝いのメッセージを送らせていただく。

私が法務部会内の条約刑法等検討小委員会の事務局長に就任したのは、吉野氏が法務部会長のときだった。
多分、私が法務部会長代理だったはずである。

当時の吉野氏の仕事ぶりを皆さんにご紹介しておく。
平成19年(2007年)2月28日の記事である。

法務部会長は超忙しい

自民党の法務部会長は当選3回、福島県選出の吉野正芳衆議院議員である。
環境問題や農政関係に明るく、公認会計士法改正問題等についても積極的に取り組んでいる議員であるが、法務部会との関わりが特に深かったわけではない。

法務委員会の理事も務められたので、比較的懸案事項が少ないということで法務部会長を引き受けられたようである。

その吉野部会長が、なんでこんなに忙しいんだ、と思わず声をあげられた。
連日法務関係の重要な委員会、部会、各種プロジェクトチームの会合が開催されている。
今日も朝8時の財務金融部会との合同会議での電子登録債権法案についての東京商工会議所や全国銀行協会からのヒヤリングに続いて、正午からは司法制度調査会ADR活性化プロジェクトチームでの有識者ヒヤリング、さらに午後1時からは国友明彦大阪市立大学院教授からのヒヤリングと、実に内容豊富な質疑が終日続いた。

その全てが様々な制度改正に直結する。
なんで毎日こんなに難しいことを勉強しなければいけないんだ、と思われるのは当然である。

弁護士出身である私自身判断に迷うような、新しい法制度の提案が次々と続いている。
専門家の間でも意見が分かれるような法案も数多く審議の対象となる。
それを毎朝の部会の僅か30分から1時間の間に一定の結論を出さなければならない、ということになったら、まさに大変だ。

それを現実にやっているのが自民党の法務部会である。
真面目な部会長は、自分で勉強し、回答を求めようとする。
役所の言いなりにならないよう、まず自分で制度を理解しようとすれば、勉強量はすさまじく膨大になる。

いかに自民党の法務部会長が多忙であるか、お分かりいただけるだろうか。
吉野部会長は超真面目な衆議院議員である。

おっと、そう言えば、ほとんど部会を開かなかった部会長もいたなあ。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2017年4月26日の記事を転載させていただきました(アイキャッチ画像は吉野正芳氏公式ブログより引用)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。