数年前から「ストーリー戦略」というものが注目を集めています。米国では「パワーポイントを捨ててストーリーを語れ!」と叫ばれ、映画脚本家(指導者?)のロバート・マッキーがビジネス講演会で引っ張りだこになっているそうです。
ストーリーの構成要素については拙著でも触れていますが(「話し上手はいらない」等)、ストーリーは講演やプレゼンだけに応用するだけのものではありません。
実は、あなたが扱っている商品やサービスにも必ずストーリーが秘められているのです。
極論すれば、ストーリーのない商品やサービスが世の中で売れるはずがないのです。お客様は、あなたの扱う商品やサービスのストーリーを(無意識的であっても)評価してくれるからこそ、お金を払ってくれるのですから。
一番ストーリー性のなさそうな家電についても、お客様は無意識的にストーリーを描いているはずです。
例えば、音の静かなエアコンを探している人の頭の中には「多忙な毎日、朝までしっかりと快眠したい」「生まれたばかりのわが子に快適な空間がほしい」…というようなイメージがあるのではないでしょうか?
しっかり汚れが落ちる洗濯機を探している人の頭には「汚れのないユニホームを着ている元気な息子の笑顔」が浮かんでいるかもしれませんね。
ところが、ストーリーを語ることなく商売をしている人たちがあまりにも多すぎるのを見るにつけ、私はとても「もったいないなあ〜」と感じます。
飲食店のメニューなどは「ストーリーの宝庫」であるにもかかわらず、全く触れられていないケースが圧倒的に多いのです。
例えば普通の焼き鳥でも、「鶏肉にこだわりのある店主が厳選した素材で一つ一つ丁寧に仕込み、備長炭でじっくり焼いた当店自慢の焼き鳥」というストーリーを付ければ、そのイメージがお客様の頭に浮かんできます。また、「今朝築地で見つけた上質なイカを、新鮮なままさばいた(?)イカ刺し」というように、いくらでもストーリーをつけることができるはずです。
サービスに関しても、「紳士淑女による紳士淑女に対するサービス」というリッツ・カールトンの有名なフレーズがありましたよね。
そこまでいかなくとも、「業界経験10年の豊富な知識と経験に基づく、一流の人への一流のサービス」なんていうのもアリでしょう。
一度、ご自身の商品やサービスにストーリーを付けてみませんか?
何通りあってもいいと思います。お客さまのニーズの数だけストーリーはあるのですから。
自分で上手いストーリーが浮かんでこない場合は、あなたの商品やサービスに頻繁にお金を払ってくれるお客様に率直に尋ねてみるのも手だと思います。
「値段が安い」というのも立派なストーリーです。「発展途上国の最新工場で作った安価ながらも上質な商品」とまではいかなくとも、「わが社の社員が一丸となってコスト削減に取り組んだ結晶」というくらいのストーリーはできるでしょう。
ぜひ、あれこれ考えてみてくださいね。
考えるプロセスの中から、新しいヒット商品が生まれてくることもありますから。
編集部より:このブログは弁護士、荘司雅彦氏のブログ「荘司雅彦の最終弁論」2017年4月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は荘司氏のブログをご覧ください。