北朝鮮問題が緊迫化する一方、仲介役が期待される中国が秘かに国産空母を進水していたとして大いに話題になりました。以前ご紹介した軍事総合力トップ20で中国は堂々3位であり、中国の動向は南シナ海に大きな影を落とします。かたや中東ではシリア内戦は混乱を極め、イスラム国の台頭は止まらず。欧州もロシアとトルコの接近をにらみ、安穏としていられません。2016年に、世界各国はどれだけ予算を軍事費に充てたのか?ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が行った調査を元に、24/7 wall streetがまとめたランキングをみてみましょう。
15位 イスラエル
>軍事費(2016年、以下同):180億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:19.0%増
> 軍事費、GDP比(2016年、以下同): 5.8%
> 1人当たり軍事支出(2016年、以下同):2,194ドル
14. UAE
> 軍事費 228億ドル
>2007〜2016年、軍事費の変化:123.0%増
> 軍事費、GDP比: 5.7%
> 1人当たり軍事支出: 2,504ドル
13. ブラジル
> 軍事費:237億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:18.0%増
> 軍事費、GDP比:1.3%
> 1人当たり軍事支出: 113ドル
12. オーストラリア
> 軍事費:246億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:29.0%増
> 軍事費、GDP比:2.0%
> 1人当たり軍事支出: 1,013ドル
11. イタリア
> 軍事費:279億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:16.0%増
> 軍事費、GDP比:1.5%増
>1人当たり軍事支出:467ドル
10. 韓国
> 軍事費:368億ドル
>2007〜2016年、軍事費の変化: 35.0%増
> 軍事費、GDP比:2.7%
> 1人当たり軍事支出:729ドル
9. ドイツ
> 軍事費:411億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:6.8%増
> 軍事費、GDP比:1.2%
> 1人当たり軍事支出:509ドル
8. 日本
> 軍事費: 461億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:2.5%増
> 軍事費、GDP比:1.0%
> 1人当たり軍事支出:365ドル
7. 英国
> 軍事費: 483億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:12.0%減
> 軍事費、GDP比:1.9%
> 1人当たり軍事支出:741ドル
6. フランス
>軍事費:557億ドル
>2007〜2016年、軍事費の変化: 2.8%増
> 軍事費、GDP比:2.3%
> 1人当たり軍事支出:862ドル
5. インド
> 軍事費:559億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化: 54.0%増
> 軍事費、GDP比:2.5%
> 1人当たり軍事支出:42ドル
4. サウジアラビア
> 軍事費:637億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化: 20.0%増
> 軍事費、GDP比:10.0%
> 1人当たり軍事支出:1,978ドル
3. ロシア
> 軍事費:692億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化: 87.0%増
> 軍事費、GDP比:5.3%
> 1人当たり軍事支出:483ドル
2. 中国
> 軍事費:2,150億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:118.0%増
> 軍事費、GDP比:1.9%
> 1人当たり軍事支出:156ドル
1. 米国
> 軍事費:6,110億ドル
> 2007〜2016年、軍事費の変化:4.8%減
> 軍事費、GDP比:3.3%
> 1人当たり軍事支出:1,886ドル
以上の数字をチャートで見てみましょう。
米国の軍事費は比類ない水準ですが、オバマ前政権下で軍事費そのものは減少していました。トップ15ヵ国で、英国を含め約10年間で軍事費が減少した国はたった2ヵ国ということになります。トランプ政権では”力による平和”を目指し2018年会計年度予算でも国防費540億ドル増を掲げるだけに、これから少なくとも4年間は大幅増となるでしょう。
日本をみると、軍事費こそ8位ですがGDP比では15ヵ国中最下位で1人当たりでは12位にとどまりました。1人当たりの軍事費で言えば、10億人以上の人口を抱える中国とインドでは極端に少ない。先進国と比較し未だ成長著しい両国では、軍事費のGDP比でも控え目に見えるから不思議です。
しかしながら、2007年から2016年における軍事費の変化でみると米国で減少した傍らUAEはもとより中国、ロシアが大幅に増額させていたことが分かります。火のない所に煙は立たぬ、といったところでしょうか。
(カバー写真:Pw95/Flickr)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2017年5月1日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。