米国でマクドナルドが訴えられた

4月23日にロスアンゼルス在住のSean Goreckiが、ウエブサイトのアクセシビリティ対応が不十分だとしてハンバーガーチェーンのマクドナルドを提訴した。提訴先はシカゴにある米国連邦裁判所で、事件番号は17-cv-3036である。

視覚に障害を持ちスクリーンリーダ(読み上げソフト)でサイトを閲覧するGoreckiが提訴した理由が弁護士事務所から公表されている。マクドナルドのサイトにはラベルや代替テキストがないか、あるいは不正確な、画像・リンク・ボタンが多数あり、読み上げソフトでの情報取得ができない状況にある。特に、商品の追加がうまくできないので読み上げソフトではカロリーの計算ができない、など。

マクドナルドのサイトを実際にチェックしたが、5月6日時点では、「Nutrition Calculator」で「Add More Items」を押して表示されるバーガーやサラダの画像には代替テキストがなく、読み上げソフトでは操作できない状況であった。

障害を理由にした差別を禁止する連邦法のAmericans with Disabilities Act of 1990(ADA)と、性的マイノリティなどを含めてより広範に差別を禁止するカリフォルニア州法Unruh Civil Rights Actにマクドナルドは違反しているというのが、Goreckiの主張である。

Goreckiは弁護士事務所と手を組んでこれまでも同様の訴訟を起こしてきた。たとえば、Petco Animal Suppliesという企業に対する訴訟は、同社が12か月以内にWeb Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.0のレベルAAに準拠するようにサイトを改修するという条件で同意判決に至っている。なお、Goreckiは訴訟費用以外の損害賠償は求めなかった。

マクドナルドの場合もサイトには確かに欠陥があるため、アクセシビリティ対応を強化するという方向での決着が予測される。

わが国では障害者差別解消法が施行されているが強制力がない。わが国もADA同様のアクセシビリティ法の制定に進むべきである。