風越学園立ち上げブログ②自己主導の学び

自分の学びを自分で進めていく。
ボクらはそれを「自己主導の学び」と呼ぶことにしました。

「わたし」からはじまる…自己主導

軽井沢風越学園は「わたし」からはじまります。

これまでの学校では、何を、どう、どこまで学ぶかを大人が決めていました。いわば「学びのコントローラー」は大人が持ち、「わたし」よりも「みんな」が優先されていたのです。私たちはそのような学校の姿から一歩先に進みます。「学びのコントローラー」を大人ではなく子ども自身がもつ。それが軽井沢風越学園の目指す学びのスタイルです。軽井沢風越学園では、何を、どう、どこまで学ぶかを一人ひとりの子ども自身が決めて、学んでいきます。そして学びの質を深めるために、自分自身の学びを問います。これを私たちは「自己主導の学び」と呼びます。

<学びを決める>…この時間でわたしはこれを学ぶ。 このことをわたしはこう学ぶ。わたしはここまで学び進める、学び深める。
<学びを問う>…この時間でわたしは何を学んだのか? この学び方は自分にとってどうだったのか? 次に何を学ぶのか? もっと知りたいことは何か?

こうして「決める」と「問う」ことを繰り返し、学びを自分のものにしていくのが自己主導の学びです。

ボクは小学校現場でこの自己主導の学びの実践を試行錯誤してきました。
算数でも単元内自由進度で学ぶことをメインとしてきました。

自分で学習計画を立てる。
自分で学ぶ。
自分の学びをふり返って改善していく

とてもシンプルな学び方ですが、学習の基本だと思うわけです。

新しい指導要領で言われている「主体的な学び」はまさにこれです。
教室で
「先生、次の時間なにするの?」
と聞かれるとき。
きっとそれは、学ぶことが外から「降ってくる」状態。 「学びのコントローラー」を教師が操作している状態。
自分の学びのコントローラーを自分で操作する。
自分で操作するからもちろん失敗もする。
その試行錯誤の積み重ねから「学ぶ」ということが自分のものになっていくと考えています。


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では、一人で孤独に学ぶということでしょうか?
いえ、けっして孤立して学ぶわけではありません。
ゆるやかな協同性が一人ひとりを支えます。必要に応じて人間関係の濃い薄いを越えて、気楽に他者の援助や協働を求めあいます(自然な学び合い)。

学校が、「学び合うこと、聴き合うことをベースとした実践コミュニティ」として成立していれば、自己主導の学びはいわば、

「みんながちがうことをやっていて、必要に応じて自然に学び合う学習」と言い換えることができます。

そうすれば全員が違うことをやっていても、サポートが必要になれば人間関係の濃い薄を超えて「ちょっと教えて」と気軽に聴くことができる。

援助希求が機能している学習環境をベースに、一人ひとりが学んでいける。

それが1年ではなく、もっと長いスパンで保障されていたらどうなるか。
軽井沢風越学園での大きなチャレンジのひとつです。

そのためには、時間と空間、そして仲間の「さんま」が重要になってくると考えています。


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ボクの予測としては、小学校だけを考えても早ければ3年、ゆっくり学んでも6年間で「しっかり学んだ!」といえる状態に、子ども自身が自分で持っていけるようになると思います。

そして探究に没頭できる時間的なゆとりも生まれるはずです。
そのためのカリキュラムづくりがこれからの大きな仕事です。

というわけで、軽井沢風越学園のホームページに「自己主導の学び」、そして校舎の中心になる「ライブラリー」の情景を追加しました。

自己主導の学びと協同の学びのゆるやかなつながり – 一般財団法人軽井沢風越学園設立準備財団


編集部より:このブログは一般社団法人「軽井沢風越学園」発起人、岩瀬直樹氏(東京学芸大学准教授)のブログ「いわせんの仕事部屋」2017年2月12日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は岩瀬氏のブログをご覧ください。